2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23520181
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
小菅 隼人 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (40248993)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 国際情報交流 / イギリス / ドイツ / フランス / イタリア / 台湾 |
Research Abstract |
今年度を通じて,1970年に大阪千里丘陵で開催された日本万国博覧会に出展されたパビリオン「みどり館」で上映された土方巽出演映画『誕生』とそれを取り巻く時代状況を主たる研究対象として,文献による調査・研究と関係者インタビューを勢力的に実施した. この目的のため,2011年8月6日には,大阪大学中之島センターを会場に,研究会と途中経過発表会を行い,情報収集と成果の検討を行った.さらに,2011年8月10日には,大阪大学豊中キャンパスにおいて開催された国際演劇学会において"Hijikata Tatsumi in the Age of High Economic Growth: A Rebellion of the Body, Birth in Expo’70, and A Tale of Smallpox"というタイトルのもとでフィルム・セッションを行い,20名の海外からの参加者と共に意見交換を行った.この成果は,2011年12月に発刊された『慶應義塾大学日吉紀要:言語・文化・コミュニケーション』に「万博映画『誕生』(1970年)と土方巽」というタイトルで発表された. この研究過程で,土方巽の出演シーンのデジタル化が完了し,41年ぶりに『誕生』における土方の踊りの全容が明らかになったこと,5画面を連結した映像により,広大な山肌を駆け踊る土方巽の姿を確認できたことは大きな成果である.さらに,土方巽の舞踏生成の社会・思想環境を再検証する「土方巽研究会」を発足させ,土方巽の命日である2012年1月21日に,慶應義塾大学三田キャンパスにおいて第一回の会合をおこなった.当日は,笠井叡氏を招き,多くの舞踏関係者の参加を得て,有益な情報収集を行うことができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
以下の成果発表と活動ができたことによる. 論文発表:『慶應義塾大学日吉紀要:言語・文化・コミュニケーション』に「万博映画『誕生』(1970年)と土方巽」を発表(共著).研究協力者と三人の共著で論文発表を行った. 国際会議発表:2011年8月10日,大阪大学豊中キャンパスにおいて開催された国際演劇学会(International Federation of Theatre Research)において,"Hijikata Tatsumi in the Age of High Economic Growth: A Rebellion of the Body, Birth in Expo’70, and A Tale of Smallpox"というタイトルのもとで,フィルム・セッション. 研究会開催(2回):(1)2011年8月6日,大阪大学中之島研究センター講義室において,慶應義塾大学アート・センター,ポートフォリオBUTOH,大阪大学大学院文学研究科演劇学研究室の共催で,「土方巽舞踏大解剖VI」を開催,その中で日本語による成果発表と意見交換を実施.(2)2012年1月21日,慶應義塾大学三田キャンパス東館会議室において,土方巽研究会を開催. 土方巽出演映画のデジタル化の完成:2011年7月25日,土方巽の出演シーンのデジタル化が完了し,41年ぶりに『誕生』における土方の踊りの全容が明らかになる.フィルムは5本に分かれているが,IMAGICAの尽力により,5画面を連結した映像が用意された.広大な山肌を駆け踊る土方巽の姿を確認することができた.
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Strategy for Future Research Activity |
(1)前年度の「誕生」に関する調査を完結させ資料作成を行う.また,当時の上映方法など技術関係の調査も行い,一般公開可能なデジタル・コンテンツ制作と公開のための準備作業を行う.(2)万国博覧会という時代の光の部分を象徴する社会的事象と土方巽との関わりを検討した後,次に1960 年代から1970 年代にかけての,公害,三里塚闘争,反核運動など,高度経済成長期の日本の影の部分と土方巽の芸術活動との関連性を検討,戦後民主主義=近代的理性と対峙する舞踏=肉体の表現を確認する.そのため、この時期に土方とコラボレーションを行っていた美術家たちにインタビューを行う.美術家の中西夏之,中村宏,横尾忠則,詩人の高橋睦郎,舞踏家の麿赤兒,演出家の唐十郎,更に,当時の土方の活動を支えていた堤清二を予定している.(3)平成24 年度に重視される作業は、海外での発表と調査である。6月末にイギリス・リーズ大学で開催されるPerformance Studies International (PSi)において,"New Ecologies of Butoh: Expanding and Exploding ‘Cultural’ Articulations"というタイトルでパネルセッションを組み,ヨーロッパにおける舞踏の現状についての情報収集を行うことが決まっている.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
(1)国際パーフォーマンス学会,Performance Studies International (PSi)において,"New Ecologies of Butoh: Expanding and Exploding ‘Cultural’ Articulations"というタイトルのもとで発表し,あわせて情報収集を行うための海外出張旅費に支出する予定である.(2)ヨーロッパを中心とする海外における舞踏の現状調査を上記国際学会に合わせて行う予定である.この調査関係の旅費を支出の予定である.(3)特に土方巽の生誕地,秋田での国内調査旅費と,インタヴュー謝金に支出の予定である.
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Research Products
(3 results)