2011 Fiscal Year Research-status Report
中国北朝墓誌における特定刻法の伝播に関する基礎的研究
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23520184
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Research Institution | Daito Bunka University |
Principal Investigator |
澤田 雅弘 大東文化大学, 文学部, 教授 (20162547)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 石刻 / 墓誌 / 刻法 / 書道史 / 北朝 |
Research Abstract |
本研究の目的である、北朝墓誌中に混在する、時空を越えて伝播する特定の自律的刻法(原稿である筆跡に左右されない同じ刻し方をする一群)の検出を、大東文化大学書道研究所及び淑徳大学書学文化センター所蔵拓に即して調査を続行中である。 その調査を通じて[002]と名付けた特定刻法の検出を終え、「北朝墓誌にみる特定刻法の伝播―刻法[002]について―」と題して、平成23年11月開催の第22回書学書道史学会大会において口頭発表した。また現在、その内容をもとに論文を執筆中である。 また、[002]とは別の特定刻法を、北朝墓誌のいくつかに見出しているので、同刻法を[003]と仮称して、近くその刻法の検出に努める計画である。 なお、[002]の研究成果に、応募時に記載したとおり応募年度末に公刊した伝播する特定刻法[001]の研究成果も加えて、「筆法か刻法か―北朝墓誌にみる鐫刻工房と刻法伝播から―」と題し、12月、東京学芸大学附属高等学校において、東京都・埼玉県・千葉県高等学校教員を対象に講義をおこない、新知見を提示した。 一方、平成24年度に完成し公表する予定である、国内外関係機関所蔵北朝墓誌拓片総合目録の作成は、諸般の事情から、進捗にわずかながら遅れがあるものの、研究補助を雇用して進め、目途が立ちつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
特定刻法の検出は、ほぼ予定通りである。 ただし、国内外関係機関所蔵北朝墓誌拓片総合目録の作成計画にわずかな遅れがある。そのため、調査対象機関の中心に据えている大東文化大学書道研究所及び淑徳大学書学文化センターの所蔵拓については計画通りの進捗であるが、この両機関以外の機関所蔵拓についての調査計画は、存分に立てることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に口頭発表した「北朝墓誌にみる特定刻法の伝播―刻法[002]について―」を公刊する。また、特定刻法[003]の伝播状況についても調査探求し、年度末の公刊を目指す。 大東文化大学書道研究所及び淑徳大学書学文化センター所蔵拓の調査を続行するとともに、国内外関係機関所蔵北朝墓誌拓片総合目録を早期に完成し、同目録をもとに上記両機関未所蔵の拓を検出したうえで、特定刻法調査の必要が考えられる墓誌について、国内外機関所蔵拓の調査を実施し、[001][002][003]以外の伝播する特定刻法の検出に努める。 また、24年度末には上記の国内外関係機関所蔵北朝墓誌拓片総合目録を公表する。 なお、本研究によって得られる新知見は、石刻書法観を飛躍的に高め、旧来の観念を大いに改めるものであるため、書法や書法史関係者が集う大小さまざまな場での口頭発表に努める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
国内外関係機関所蔵北朝墓誌拓片総合目録を完成したうえで、大東文化大学書道研究所及び淑徳大学書学文化センターに未所蔵の墓誌を検出し、国内外機関所蔵拓の調査対象の絞り込みを早急に行い、夏季・冬季を利用して調査を行う計画である。よって調査のための交通費を必要とする。 また、拓が整本である場合など、資料の状態によっては撮影に研究補助者の手を借りなければならないため、雇用の経費が必要である。 上記目録の完成には、研究補助者雇用の経費が必要であるが、その完成後の公表方法は紀要誌上を考えている。 また、関係資料の購入と、調査対象の墓誌の文字カード化等や画像データの整理保存は、必要に応じて適時行うため、拓本や書籍などの資料や備品・消耗品の購入経費、及び研究補助雇用の経費が必要である。
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