2011 Fiscal Year Research-status Report
ゲーテと1810年前後のイタリアの色彩理論との関係
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23520185
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
DETHLEFS H・J 中央大学, 文学部, 教授 (60256005)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 色彩論 / レオナルド・ダ・ヴィンチ / ゲーテ |
Research Abstract |
ゲーテ「色彩論」の教示篇においても歴史篇においても、さらにはゲーテの活動報告書である「著者の告白」においても、レオナルド・ダ・ヴィンチの色彩理論に関する言及はない。1817年12月20日付の日記には「レオナルド・ダ・ヴィンチを『原書で』読んだ」と記されている。およそ10年後には、この偉大な模範の名が、エッカーマンによって伝えられた1828年の会話の中に出てくる。「私の色彩論は、まったく新しいというわけではない。プラトン、レオナルド、そして他の多くの優れた人物たちが、私よりも前に個々に同じことを発見し主張していた」と。 今日までゲーテ研究が代表してきた見解は、1817年にローマで出版されたグリエルモ・マンツィ(Guglielmo Manzi)による「ウルビノ稿本(Codx Urbinas Latinus,1270)」の初版が、レオナルドの色彩理論に関するゲーテの最初の取り組みを表しているというものである。すなわち、それは「色彩論」が出版された1810年の7年後であった。 今年度の研究においては、ゲーテの取り組みがすでに1790年代初期には始まっていたこと、少なくとも4つの主要な命題が色彩論の中に取り入れられたことを論証することができる。レオナルドのそれらの命題は、イタリア旅行(1786~1787)から晩年に至るまでゲーテの関心を特に引いた、色味のある影という光学現象に関係するものであった。ゲーテは、1727年に出版されたレオナルドの最初のドイツ語訳を自らの研究の基礎に置いた。「色彩論」にとって重要な著作のタイトルは以下のとおりとなっている。「なぜ夕方には白い壁に映る物体の影は青く現れるのか」、「影の色について」、「どこから空気の青い色は発生するのか」、「どのようにして、ある色が他の色に対して心地よさをもたらすように、色を配列すべきか」
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、イタリアを訪問し、「青い影、遠方の青、空の青」についてのレオナルドとゲーテの比較における色彩理論をテーマに、現地での資料収集を充分行うことができた。また、色彩論において、ゲーテが重きをおいたレオナルドの理論がどの著作にもとづいているのか、を解明することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究目的は、ゲーテの「色彩論」をニュートンとの理論の対置から解放しつつ、ルネサンス期のレオナルドの光学研究へと遡ることで、より広い基盤の上に置くことである。 平成24年度は、ゲーテに影響をあたえた、レオナルドの4つの主要な命題について、論文に纏める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
夏期休業期間を利用して、ゲーテにゆかりのある、ドイツ・ワイマールにて資料収集・調査を行う。また、ドイツでの資料収集がうまくいけば、夏期に(予定通り進まなければ、3月頃に)イタリア・フィレンツェを訪問し、現地でしか入手できないレオナルド・ダ・ヴィンチ関連の本や、現地図書館での資料収集を行う予定である。 平成24年度の経費は、おもに、これらの調査旅費や資料収集としての書籍に使用する予定である。また、現地での資料収集を効率よく進めるために、持ち運びが可能なノートパソコンを購入する予定である。
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