2013 Fiscal Year Annual Research Report
ゲーテと1810年前後のイタリアの色彩理論との関係
Project/Area Number |
23520185
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
DETHLEFS H・J 中央大学, 文学部, 教授 (60256005)
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Keywords | レオナルドの図像理論 / GrundあるいはHintergrund(背景) / レオナルドとヴァザーリにおけるGrundと人物 / ヴァザーリの彫刻的方法におけるヴィンケルマン解釈 / レオナルド、ヴァザーリと piazza概念 / ゲーテ『色彩論』における piazzoso概念 / 1800年頃のドイツのヴァザーリ受容 |
Research Abstract |
2013年には、研究課題であるレオナルド・ダ・ヴィンチの彩色理論に関する専門用語をその余波にまで、特にゲーテおよびイタリアの同時代人たちの色彩理論を視野に収め、さらにはヴァザーリの受容を含め、拡張しました。この研究の中心にはcampoという概念、初めにレオナルドが用い、ヴァザーリが自身の生涯にわたる業績についての美術史理論入門において継承・発展させたものです。 Campoという概念は近代初期のドイツ語圏美術文献においては地面・土台(Grund)あるいは野原(Feld)という語でもって翻訳されています。この概念は背景という意味でのイタリア語のfondo、フランス語のfondsという語とともには用いられません。フランスの学術的な美術理論において初めて概念の混同が生じます。しかも1651年にFreart de Chambrayが行った最初のレオナルド翻訳においてです。Campoという概念は人物を取り巻く環境であり、周辺空間との関係における人物の構成・性質にまで及ぶのです。私が示したところによれば、この概念はメディア理論的概念であり、レオナルドは図像理論の枠組みにおいてメディア理論的反省を行った最初の美術作家です。 レオナルドはこの連関において別の概念を発展させます、la piazzaです。これは同様にヴァザーリによって引き継がれます。平面のようなものあるいは il piazzosoとしてこの概念はゲーテの『色彩論』に取り入れられることになります。
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Research Products
(5 results)