2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23520193
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Research Institution | Tokyo University of Technology |
Principal Investigator |
暮沢 剛巳 東京工科大学, デザイン学部, 准教授 (80591007)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江藤 光紀 筑波大学, 人文社会科学研究科(系), 准教授 (10348451)
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Keywords | 大阪万博 / EXPO / 日本国博覧会 / 前衛芸術 / ブリュッセル万博 / モントリオール万博 |
Research Abstract |
研究の概要は次のようなものである。日本万国博覧会(1970年。以下大阪万博と記す)における前衛芸術運動について、美術家・建築家・デザイナー・音楽家が協同した企画に焦点を絞り、基礎的な資料を調査・収集する。次にこれらの動きを戦後の国際的な前衛の流れの中に位置づける。ブリュッセル万博やモントリオール万博など先行する戦後の万博、そして大阪万博後の動きにも着目し、それらにおける同種のプロジェクトを調査・研究することにより、万博という場が総合芸術の表現に対しどのような可能性を与え、それを実現したのか、さらにはそれが戦後の前衛芸術運動においてどのような位置を占めていたのかを検討する。 23年度は研究年度の一年目として、まず今後の分析の切り口を定めるところからスタートした。巨大イヴェントゆえに膨大な資料が残されており、さらにテーマの細目を立てることで調査範囲を絞りこむことが目的であった。 24年度は前年度の研究を受けて定めた切り口を掘り下げ、また資料の収集を進めることを大きな目的とした。またそれと並行して、研究論文を随時発表し、成果の蓄積を図ることとした。 具体的には、暮沢・江藤の両名で秋にモントリオールまで出張し、67年のモントリオール万博会場跡地を訪れ、今の残る関連施設を調査したほか、現地の博物館等で当時の資料を鑑賞し、また文献資料を収集した。その後ニューヨークでも39年と64年の世界博の調査を行ったが、滞在中に災害にあったため十分な成果は得られなかった。またそれに先立って、初夏には現代の万博の展示を調査するために韓国の麗水まで出張したが、この調査に際しては暮沢と江藤のスケジュールが一致しなかったため、各自別々に行った。また暮沢は2月下旬に大阪の万博公園を訪れて現地調査を行ったほか、基幹施設の設計者である曽根幸一からの聞き取り調査を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国際比較については、前年度に引き続き、24年度は暮沢・江藤でモントリオール万博やニューヨーク世界博の会場跡地へと出向き、基礎資料を収集したほか、暮沢・江藤とも個別に麗水万博の調査を行った。また暮沢は大阪の万博公園に出向いて基礎資料を収集したほか、基幹施設の設計者である曾根幸一へのインタビューも行った。
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Strategy for Future Research Activity |
H24年度に引き続き、個々のテーマの個別調査を継続する。またH24年度の調査の結果、パヴィリオンの展示や参加作家についての情報収集が必ずしも十分とは言えず、より詳細な調査を行う必要があることが明らかになったため、最終年度である本年度はより詳細な調査に取り組む予定である。研究成果の発表を引き続き行い、最終目標である研究成果の書籍化に向けてさらなる内容の充実を図っていく。また今年度は、研究内容を一層充実させるべく、博覧会協会のあるパリでの文献調査と、ドイツ、北欧等の周辺諸国での情報収集を主目的とした海外調査を行う予定である。 なお今までの研究成果の一部は、青弓社の理解を得て、同社のホームページ上に「大阪万博のインパクト」というタイトルにて暮沢・江藤両名の連載形式で発表されている。前述のように、この連載をまとめて書籍化して本研究の最終的な成果の報告とする予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
24年度は暮沢・江藤合同で海外調査を行ったのをはじめ、各自で個別に国内外の調査も行い、文献の収集も行った。25年度も同様に国内外での調査を継続し、文献の収集を進める予定である。基本的に調査は暮沢・江藤合同で行う計画だが、勤務先の都合次第では、個別で行う可能性もある。研究費の使途に関しては、暮沢は旅費を主体に、江藤は旅費と物品費を半々の比率で使用する予定である。また、H24年度に当初の予定ほど海外調査の日程を確保できなかった結果生じた繰越金の使途に関しても同様である。
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Research Products
(8 results)