2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23520194
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Research Institution | Tsurumi University |
Principal Investigator |
加藤 寛 鶴見大学, 文学部, 教授 (70161114)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 工芸史 / 日本美術史 / 仏教美術史 / 日本彫刻史 |
Research Abstract |
平成24年度は、奈良時代の乾漆像の関連調査として、4月17日(火)に「阿弥陀如来坐像」(長延禅寺蔵)、6月11日(月)「夾苧棺断片」(7C京都国立博物館蔵)、6月18日(月)「屈輪文天目台」(12C品川歴史館蔵)ほかを行い、漢代の「〓」と[乾漆」との比較を行った。「夾苧棺断片」の調査では、7世紀出土の乾漆断片に約20枚の麻布を重ね表面に下地をつけた技法が用いられていたことを確認した。このことから、昨年度調査を行った奈良県当麻寺本堂の[四天王像」や、未調査ではあるが聖徳太子や藤原鎌足の阿武山古墳出土の「夾苧陪」(京都大学総合博物館蔵)の技注調査の参考になると考えられる。また、近世の乾漆彫刻であるが長延禅寺「阿弥陀如来坐像」の技法は、奈良時代にいったん途絶えた乾漆技法が江戸時代に復活した貴重な作例であり、明治時代以降奈良県で盛んに行われた7~8世紀の乾漆像の修復技法との関連を推測する拠り所になる。 また、三次元画像作成のための準備として2月5日(日)10:00~12:00に鶴見大学歯学部ハイテクセンターと共同研究として行った日立社製最新移動C.T.スキャン車による文化財調査でのデータ解析を行った。「源氏物語蒔絵歌書箪笥」、「銅製菩薩立像」(いずれも鶴見大学所蔵)などの工芸品を含むスキャニングデータをもとに詳細写真を作成した。また、ハイテク技術センター所蔵の3DスキャナーRexcanDST「1、」「2、」を利用し、コンピュータ内に三次元画像を作成し、石膏またはシリコンモデルの復元作業についての打ち合わせを行った。この結果、平成24年度は調査作品を対象として石膏型外形モデルの作成を目指して復元製作を行うことを確認した。 漆材料技法の関連研究から以下の2件の特許を申請した。 1、「黒漆の製造方法及びその黒漆を用いた漆器の製造方法」 2、「漆下地材の製造方法及びその下地材を用いた製造方法」
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Research Products
(4 results)