2011 Fiscal Year Research-status Report
ピアノ学習及び、ピアノ演奏が健常な退職後の高齢者の精神的健康にもたらす縦断的効果
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23520199
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Research Institution | Hiroshima Bunka Gakuen University |
Principal Investigator |
井下 洋子 広島文化学園大学, 学芸学部, 教授 (50585271)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 敏生 広島大学, 保健学研究科, 教授 (20251069)
多田 愉可 広島文化学園大学, 学芸学部, 講師 (80513093)
井下 べに 広島文化学園大学, 学芸学部, 非常勤講師 (60597756)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 高齢者 / 健康増進 / 生活の質 / ピアノ演奏 |
Research Abstract |
本研究は、高齢社会である現代の日本において、高齢者が自らピアノを演奏することで五感を使い、脳を刺激することが疾病の予防や健康増進に与える効果を明らかにするため、特に精神的健康の観点から評価し、最終的には高齢者の生活の質(QOL)の向上、健康かつ幸福な状態(well-being)の維持につながるピアノ健康法の構築を目指すことを目的としている。今年度は研究分担者の留学先であったオランダの老人のためのケアハウスでの音楽鑑賞を含む文化的プログラムやドイツのリハビリ病院で使われている音楽療法の視察、音楽療法家によるセミナー、音楽教育と老人医学のシンポジウムに参加した。また、それらの視察等から得た情報、指導法を応用し、次年度のための指導方法、レッスンプログラムを検討した。次年度のための予備的検討として、実験的に研究者の近所に住む60歳前後の5名を対象として一定期間レッスンを行い、レッスンを始めてからの生活面、精神健康面においての変化についてインタビュー形式による質的調査をした。その結果3名において著しい変化がみられ、「生活面での段取りがうまく進むようになった」、「記憶力や洞察力が高まった」、「心に余裕が持てイライラすることが少なくなった」、「行動的になり何事にも積極的に取り組めるようになった」、「以前は手が動けさえすれば良いと思っていたのだが音楽的に表現したいという気持ちが湧いてきた」などの改善を認めた。他2名においては大きな改善は認めなかったが、健康の維持ができていることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究期間内で高齢者が自らピアノを演奏することが疾病予防や健康増進に与える効果を明らかにすることを目的としており、今年度の計画を予定通り終了できた。また、予備的検討段階ではあるが、一定期間の定期的なピアノレッスンを終えた高齢者のインタビュー形式による調査を実施し、ピアノ学習及び演奏が高い割合で精神的健康にポジティブな影響を与えているという結果を得ている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、ピアノレッスンを始めた高齢者を対象にして、定期的に専門家による生活習慣、身体的健康度および精神的健康度(CES-Dなど)に関する質問紙による調査、QOL調査を行うことによって、音楽教育・ピアノ演奏の効果について、より詳細な検討を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は、対象者のピアノレッスンのための教材費(楽譜、CDなど)、質問紙調査の紙代、印刷費、検査料、データ入力・処理業務への謝金、データ解析および保存のためのパソコン購入費、事務用品費用などに研究費を使用する予定である。
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