2012 Fiscal Year Research-status Report
ピアノ学習及び、ピアノ演奏が健常な退職後の高齢者の精神的健康にもたらす縦断的効果
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23520199
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Research Institution | Hiroshima Bunka Gakuen University |
Principal Investigator |
井下 洋子 広島文化学園大学, 学芸学部, 教授 (50585271)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 敏生 広島大学, その他の研究科, 教授 (20251069)
多田 愉可 広島文化学園大学, 学芸学部, 講師 (80513093)
井下 べに 広島文化学園大学, 学芸学部, その他 (60597756)
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Keywords | 高齢者 / 健康増進 / 生活の質 / ピアノ演奏 |
Research Abstract |
本研究は、超高齢社会を迎えた現代の日本において、高齢者が自らピアノを演奏することで五感を使い、脳を刺激することが疾病の予防や健康増進に与える効果を明らかにするため、特に精神的健康の観点から評価し、最終的には高齢者の生活の質(QOL)の向上、健康かつ幸福な状態(well-being)の維持につながるピアノ健康法の構築を目指すことを目的とする。 今年度は、前年度にオランダ・ドイツで視察した際に得た情報や文献の内容、予備的検討をもとに、対象者の個々の学習進度を考慮に入れたピアノレッスン(介入)を行った。本年度は12名(後に10名に減少)レッスンを始め、前年度に予備的検討としてレッスンを始めた5名についても継続して介入を行った。研究計画時にはレッスンを4か月続ける予定であったが、高齢者が演奏技術を習得する速度や演奏が健康に影響を及ぼすまでにかかる時間を考慮して、長期的な介入が必要であると判断したため、1年を通して実施した。小林による生活習慣、身体的健康度および精神的健康度(CES-Dなど)、QOL調査に関する質問紙調査、およびインタビュー調査も継続して行った。また、指導内容と指導者から見た対象者の演奏技術、知識および記憶力の向上等の記録をレッスン毎に記録した。対象者の中で、音楽を理解し、その音楽に合った表現を使った演奏がどのようなものなのかを徐々に理解する者を認め、当初は「もう辞めたい」といったネガティブな発言をすることもあったが、最近においては「もっと上手くなりたい」「楽しい」等のポジティブな発言が顕著になり、ピアノ音楽の表現や理解が深くなることで、精神面への変化が生じることが推察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
生活の都合上レッスンを続けることができなくなった対象者が数名いた為、データがやや不足している。また、研究代表者の家庭の事情で3~4ヶ月レッスンができない期間があり、今年度の計画の進捗が遅れる結果となった。
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Strategy for Future Research Activity |
定期的に専門家による生活習慣、身体的健康度および精神的健康度(CES-Dなど)に関する質問紙による調査、QOL調査を行うことによって、音楽教育・ピアノ演奏の効果について、より詳細な検討を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費は、専門家によるQOL調査を引き続き行うにあたり、データ処理・解析のための謝金、教材費(楽譜、CDおよびDVD)、生徒の演奏発表の会場費等、国内外の学会出席のための旅費に使用する予定である。
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