2013 Fiscal Year Annual Research Report
ピアノ学習及び、ピアノ演奏が健常な退職後の高齢者の精神的健康にもたらす縦断的効果
Project/Area Number |
23520199
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Research Institution | Hiroshima Bunka Gakuen University |
Principal Investigator |
井下 洋子 広島文化学園大学, 学芸学部, 教授 (50585271)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 敏生 広島大学, その他の研究科, 教授 (20251069)
多田 愉可 広島文化学園大学, 学芸学部, 講師 (80513093)
井下 べに 広島文化学園大学, 学芸学部, その他 (60597756)
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Keywords | 高齢者 / 健康管理 / 生活の質 / ピアノ演奏 |
Research Abstract |
本研究は、超高齢社会を迎えた現代の日本において、高齢者が自らピアノを演奏することで五感を使い、脳を刺激することが疾病の予防や健康増進に与える効果を明らかにするため、とくに精神的健康の観点から評価し、最終的には高齢者の生活の質(QOL)の向上、健康かつ幸福な状態(well-being)の維持につながるピアノ健康法の構築を目指すことを目的とする。 今年度は前年度に引き続き、対象者の個々の学習進度を考慮したピアノレッスン(介入)を指導者3名が1年を通して行った。また、学習の締めくくりとして対象者によるピアノ発表会を行い、学習の成果を発表した。2年間のピアノ学習の結果、対象者全体において著しい演奏能力の向上がみられ、自身で意欲的に読譜し演奏・暗譜演奏が可能となり、対象者各自が自身の演奏を評価し、その成長を自覚できるようになった。一部の対象者は聴取した音や演奏が「音楽的な音や演奏」であるか分類できるようになり、自身の演奏においても以前より細やかな表現が可能になった。対象者の健康についてのインタビューでも、生活において「以前と比べて記憶力が高まった」、「意欲的になった」等の認知・精神的健康の向上が認められ、演奏の習熟度と健康の関連が示唆された。 しかしながら、対象者の健康調査の結果をまとめていくうちに、サンプル数が不足していること、創造性豊かなピアノ演奏を重視しない指導を行った対照群と比較する必要性が考えられること、高齢者の学習進度が緩やかで短期間に結果が出にくいため、さらなる長期的・縦断的な調査が必要であることが示唆された。そのため、今後もそれらの改善すべき点を考慮しながら継続して研究を行っていくべきであると考える。
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Research Products
(1 results)