2011 Fiscal Year Research-status Report
番付の統計解析結果を用いた相撲界の歴史的構造変遷の究明
Project/Area Number |
23520204
|
Research Institution | Statistical Information Institute for Consulting and Analysis |
Principal Investigator |
坂部 裕美子 (財)統計情報研究開発センター, 研究開発本部, 研究員 (50435822)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | 相撲 / 統計分析 / 時系列比較 |
Research Abstract |
本研究の目的は、相撲番付のデジタルデータ化、およびそれを統計解析した結果を使用した相撲界の歴史的な構造推移の観察である。現在整備されている力士関連データは歴代横綱・大関の戦績などごく一部に限られているが、ここでは下位の者も含む力士全体の動向に着目する。原データには、江戸時代後期分から継続収集されている番付画像データを使用し、これのデジタルデータ化を行った後、個々の力士についてデータを接続して、「平均現役活動期間」「階級別平均在位期間」の算出や「最高到達階級別度数集計」(「生涯に一度でも三段目まで上がった力士は入門者の7割」というような集計)を行う。長期間データが完成すればこれらの比率についての時系列比較が可能になり、相撲界の構造的変遷が把握できると考えられる。本年度は、過去のテキスト化作業の経験を踏まえ、サンプルとして選んだ数年間分のみについてのデータ変換の試行作業、及びその結果から推計されるデータ入力作業全体の進行計画の立案を行った。さらに、その入力済みデータを用いて第一段階の分析を行ったところ、半数以上が序二段止まりで廃業していることや、約半数が5年以下で廃業している一方、10年以上続けていて最高位が三段目(つまりこの間、給料をもらえる地位に一度も上がっていない)という力士も数多くいるなど、この世界の構造的な特徴がいくつか見えてきた。しかしこれは分析対象として取り上げた時期のみの特徴という可能性もあり、さらに対象年次を拡張して結果を比較する必要がある。この最初の分析結果については、統計関連学会で報告を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
基礎データの作成も進み、それを使用しての分析成果も出ている。しかし、そもそも初年度は作業を進めるというよりも作業量全体の見積もりに留める計画であり、結果的にそれ以上の段階には進めなかったため、「計画以上」とは言えない。
|
Strategy for Future Research Activity |
番付データのテキストデータ化を積極的に進める。さらに、データの確認用資料として、番付画像データ以外に、時系列的に力士の在籍状況が分かるデータを探索する。さらに、力士の番付上の地位の異動傾向を観察し、番付における「地位」の意味と、現在にも使われる「格付け」の思考との比較分析を行いたいと考えている。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
番付のテキストデータ化を急ぐ。さらに。番付データ分析に生存時間分析を導入する妥当性を考察する。これが可能ならば、全データ化が完了する前に、入門・引退のサイクルを把握することができると思われる。また、データの比較検討用資料として、24年度は鑑札データの使用可能性を探る。
|
Research Products
(1 results)