2013 Fiscal Year Annual Research Report
1968年以降の現代文学とサブカルチャーの相互交渉と再編に関する総合的研究
Project/Area Number |
23520205
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
押野 武志 北海道大学, 文学研究科, 教授 (70270030)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
千田 洋幸 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (40251566)
西田谷 洋 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (70378230)
横濱 雄二 甲南女子大学, 文学部, 講師 (40582705)
竹本 寛秋 鹿児島県立短期大学, 文学科, 准教授 (20552144)
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Keywords | メディアミックス / 日本近代文学 / 村上春樹 / サブカルチャー / ミステリ / 国際情報交換 / 台湾 |
Research Abstract |
今日の文学研究・文化研究の問題点を近代批判の文脈から68年の思想まで遡り整理した上で、68年代以降今日に至る現代日本文学とサブカルチャー、あるいは活字メディアと視覚メディアの錯綜した交渉関係を、村上春樹の登場とその受容史という縦軸を中心に同時代の文化・メディア環境も視野に納めながら具体的な相において通史的に明らかにした。 このようなジャンル横断的な新たな現代日本文学史を構築するためには、これまでの方法論や文学理論では捉えきれないという観点から、デジタル化社会に応じた、新たな分析概念及び文学理論の再構築も同時に目指した。 68年のポストモダニズムの思想を再検討し、それ以降の多角的で通史的な文学・文化研究を目指すことで、今日の書物や読書概念の変容の諸条件も解明された。68年の思想とその問題性が具体的に現れるのは70年代であり、文学とサブカルチャーが分かちがたく結びつくのもこの時期である。戦後のサブカルチャーは、アメリカの政治や文化の影を引きずりながらも次第に日本化し、それが文学の領域にも流入することとなる。その意味で、79年の村上春樹の登場(その前史としての庄司薫の登場)はひとつのメルクマールとなったことが分かる。それ以降、次々と発表された村上春樹の小説の特質は、ミステリ・SF・映画・音楽等、多様なジャンルからの引用を多用し、80年代のポストモダンの思想とも論争的に関わることとなる。さらに今日に至るまで村上春樹の作品構造の特質は、文学の枠を超えさまざまなジャンルで受容・消費されている実態が究明された。
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Research Products
(18 results)