2012 Fiscal Year Research-status Report
小川未明小説全集(小品・評論・随筆を含む)未収録作品の調査・収集と研究
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23520216
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Research Institution | Joetsu University of Education |
Principal Investigator |
小埜 裕二 上越教育大学, 学校教育研究科(研究院), 教授 (00204256)
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Keywords | 小川未明 / 小説 / 童話 / 社会改造 |
Research Abstract |
本研究の調査・研究内容は次の4点である。1、全集未収録小説等の収集。2、初出不明小説等の調査。3、全集未収録小説等をふくめた未明文学の再検討。4、全集未収録作品および初出情報等の公開。以下、平成24年度実績の概要を記す。 全集未収録作品の収集は、平成24年度は約600編の文献収集を行い、未収録作品の残りは約200編となった。全集出典不明作品の調査は、図書館等における調査の結果、平成24年度は約100編の初出誌を明らかにすることができた。全集未収録作品をふくめた未明文学の再検討は、地域の市民とつくった小川未明小説研究会の活動を通して行い、小説を中心とした未明文学の変遷とその特質を解明してきた(活動は月1回、参加市民約30名)。全集未収録作品および初出情報等の公開は、『小川未明小説書誌』(日外アソシエーツ・紀伊國屋書店、平成26年12月刊行予定)を出版する予定で準備を進めている。 未明文学の特質解明の活動過程で、上越市小川未明顕彰委員会委員となり、地域の市民とともに郷土作家である小川未明の文学について協働して考えることが多くなってきた。前回の研究課題であった未明童話の特質についても、今回の研究課題である未明小説の調査研究との関わりから、明らかになったことが多い。その成果の一つとして、現在、小説と童話の中間的な位置にある特異な未明作品を集めた『新選小川未明秀作童話40 灯のついた町』(蒼丘書林、平成25年7月刊行予定)を編んでいる。また、現在『解説小川未明小説100』の編集を行っている。この本は未明の代表的な小説100編について解説をほどこしたもので、未明文学の基礎資料を提供することを目的にしている。刊行は平成26年2月で、本研究課題の一つの成果だと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の調査・研究内容は次の4点である。1、全集未収録小説等の収集。2、初出不明小説等の調査。3、全集未収録小説等をふくめた未明文学の再検討。4、全集未収録作品および初出情報等の公開。平成24年度は、上記1及び3の項目を中心に研究を進めた 。 1については、上越教育大学図書館の協力を得ることができ、収集作業が飛躍的に進んだ。3については、月1回行っている上越市民との小川未明小説研究会が順調に進展し、未明の小説世界の特質について多くの知見を得ることができた。また『解説小川未明童話集45』(北越出版、平成24年3月)の姉妹篇として、現在『解説小川未明小説100』の編集を行っているが、未明の代表的な小説100編について解説を書くことを通じて小説世界の再検討が進んできた。 2については、平成24年度は新資料を数多く発掘したことを記しておきたい。初出の分からない未明作品を明らかにする作業は、上半期を中心に100編ほど明らかにすることができた。4については、平成25年度にその作業を本格的に行う予定である。 文献の収集作業が飛躍的に進んだことと、未明小説の具体的読み込みが進んだことで、「研究の目的」の達成度を「おおむね順調に進展している」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の調査・研究内容は次の4点である。1、全集未収録小説等の収集。2、初出不明小説等の調査。3、全集未収録小説等をふくめた未明文学の再検討。4、全集未収録作品および初出情報等の公開。平成24年度は、上記1及び3の項目を中心に研究を進めた 。 今後は、1、2、の調査を引き続き行うとともに、3、4、の研究課題に重心を移していく。とりわけ未明文学の特徴を小説と童話との関わりから解明していきたい。3、については引き続き「小川未明小説研究会」の活動をもとに研究を推進していく。今後は研究内容を深めるために、新たに未明文学について造詣のふかい講師を招いていく。4、については、文献の数が膨大であるため、前著『小川未明童話書誌』(日外アソシエーツ・紀伊國屋書店、平成24年12月)との整合性をはかりつつ、『小川未明小説書誌』の編集を行っていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究課題は、おおむね順調に進展しているため、次年度の研究費も、平成24年度の研究費の細目と同様に使用していく予定である。
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Research Products
(3 results)