2011 Fiscal Year Research-status Report
女性「労働」の文学表象に見る一九一〇年代の雑誌文化交流の研究
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23520217
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
金子 幸代 富山大学, 人文学部, 教授 (40224597)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
有元 伸子 広島大学, 文学研究科, 教授 (50202768)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 女子文壇 / 女性雑誌 / 明治 / 青鞜 / 1910年代 / 雑誌文化交流 / 労働 / 文学表象 |
Research Abstract |
2011年度の研究実績としては、研究代表者の金子幸代が以下のことを推進した。成果公開講演---(1)2011年9月 、ふるさと文学県民講座、題「富山の女性作家・小寺菊子の生き方を読む」、(2)国際シンポジウム・日本社会文学会秋季大会口頭発表 2011年9月、(於 中国社会科学院日本研究所)、題「イプセン『人形の家』をめぐる森鴎外と魯迅」(3)富山文学の会「第三回ふるさと文学を語るシンポジウム―『場』としての富山―」、2012年2月 (富山大学人文学部)、題「小寺菊子と富山」があり、論文発表---(1)金子幸代「書評:『青鞜』と世界の『新しい女』たち」(「週刊読書人」2011年7月発行)、(2)金子幸代「富山の女性文学の先駆者・小寺(尾島)菊子研究4―徳田秋声・三島霜川・近松秋江と『あらくれ』のこと―」、(「富山大学人文学部紀要」55号 2011年9月発行)、(3)金子幸代「『女子文壇』解説」(解説ブックレット 不二出版 2011年11月発行)、(4)金子幸代「鴎外と戯曲」(「別冊太陽(生誕150年森鴎外記念号)」2012年1月発行)、(5)金子幸代「イプセン『人形の家』をめぐる森鴎外と魯迅―魯迅生誕一三〇年に寄せて」(「富山大学人文学部紀要」56号 2012年2月発行)、(6)金子幸代「『青鞜』と『女子文壇』―発禁問題と『新しい女』―」(「社会文学」36号、2012年2月発行)がある。著書として(1)金子幸代監修・解説「『女子文壇』執筆者名・記事名・データベース」(不二出版 2011年10月)を刊行することができたのは大きな成果であった。(2)金子幸代共著 日本比較文学会学会創立六〇周年記念集『越境する言の葉ー世界につなぐ日本文学ー』では、鴎外のドイツでの受容と反響について執筆した。加えて、研究分担者の有元伸子は、広島の作家、永代美千代についての作品の発掘を行うなど研究を推進することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
(1)女性雑誌・文芸雑誌関連文献資料を収集することができた。特に基礎的な資料の収集―文献資料を、一橋大学図書館、国立国会図書館、横浜開港資料館、東京都近代文学館や、研究者代表金子は石川近代文学館、富山県立図書館で収集することができた。(2)文献資料の収集・整理・内容の分析ー購入、複写した資料を整理、分析し、著書や論文にまとめ、さらに国際シンポジウムで成果の発表を行うことができた。とりわけ、「女子文壇」の項目別索引データベースを完成させ、刊行することができたのは大きな成果であった。加えて、専門研究者や必要に応じて投稿者についての資料提供やインタビューを行うなど、2011年度は以上の事を推進できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)資料目録作成―女性雑誌・文芸雑誌関連文献資料収集の情報を入手するため、国会図書館、国文学研究資料館、東京大学法学部資料編纂所、一橋大学図書館明治文庫、横浜開港資料館、東京都近代文学館を調査する。前の二者については、インターネットを活用することも重視し、作業の効率化を図る。この他金子は、石川近代文学館、富山県立図書館、福井県立図書館を調査し、有元は、大阪国際児童文学館、広島県立図書館で調査する。関連文献により広く当たり、資料目録を作成するとともに必要なものは複写する。(2)基礎的な資料の収集―文献資料を東京大学法学部資料編纂所の明治新聞雑誌文庫、法政大学図書館、早稲田大学図書館、一橋大学図書館明治文庫、国立国会図書館、国文学資料館、横浜開港資料館、東京都近代文学館や、金子は石川近代文学館、富山県立図書館、福井県立図書館で、有元は大阪国際児童文学館、広島県立図書館で以下のように収集する。加えて、女性雑誌・文芸雑誌における日露戦後から明治終焉期までの言説の変化を明らかにするために、特に小説・戯曲作品については創作と翻訳小説・翻訳戯曲にわけて収集し、必要なものは購入する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
(1)基礎的な資料の収集(継続)―平成23年度の(2)を引き続き行う。女性雑誌に関する研究会等にもアクセスし、情報収集に努めるとともに、補充すべき女性雑誌関連の資料や入手可能な対象がでてきた場合は柔軟に対応する。(2)文献資料、調査研究資料の整理、分析(継続)―平成23年度の(3)を引き続き行い、女性雑誌の交流・連関のデータベースに着手、分析調査し、必要な図書を購入し明治終期から大正期にかけての女性作家が「労働」をいかに扱っていたか解析していく。中間成果の発表―中間成果について関連する学会・研究会での発表を行い、批判的検討を加え、研究の方向性、妥当性についてチェックしていく。また、専門研究者や必要に応じて投稿者の親族に対し、資料提供やインタビューを予定している。
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Research Products
(11 results)