2013 Fiscal Year Annual Research Report
広島の女性作家・岡田(永代)美知代に関する総合的研究
Project/Area Number |
23520227
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
有元 伸子 広島大学, 文学研究科, 教授 (50202768)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遠藤 伸治 県立広島大学, 生命環境学部, 教授 (40185161)
瀬崎 圭二 広島大学, 文学研究科, 准教授 (70413284)
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Keywords | 岡田(永代)美知代 / 田山花袋 / 少女小説 / 広島の文学 |
Research Abstract |
本研究は、広島県出身の女性作家・岡田(永代)美知代(1885-1968)について、田山花袋の「蒲団」のモデルとしてのフィルターを排して、一人の女性作家として総合的に評価し直すことを目的とし、著作リストや年譜の作成と、作品の総合的な評価を行うものであった。 美知代の著作の全貌が未解明のため、著作リスト作成を最優先に進めたが、その結果、これまで100作品弱しか知られていなかった美知代の著作が、200作以上あることが判明した。作業は府中市上下歴史文化資料館所蔵の著作コピーの書誌事項の確認から始め、大学院生の補助を得て、国立国会図書館、日本近代文学館、日本新聞博物館、大阪府立国際児童文学館等において、新聞・文芸雑誌・少年少女雑誌の索引・目次・本文の調査を行い、これらを整理して著作リストを作成した。このリストは、美知代研究のみならず、明治・大正期の女性作家研究や少女小説研究、さらに田山花袋研究にも寄与する基礎的な資料として活用できるものである。 研究代表者は、花袋の「蒲団」や以降の美知代に関連する作品と美知代の書き物との関係を考察して、従来の「蒲団」の成立過程とは異なる見解を示した。また、生前未発表原稿の翻刻と解説、『中央新聞』に掲載された無署名の連載小説を美知代作だと推定して、紹介・解説を行なった。 研究分担者と共に上下歴史文化資料館を複数回訪問して、美知代の文化的背景と地域性の核心を探るとともに、美知代の著作権継承者である親族の方々や関連する研究者との交流もはかった。本研究の成果は、論文や口頭発表によるほか、開館10周年記念講座の担当などを通じて、地域に還元してきた。研究分担者の瀬崎圭二は美知代を取り巻く言論状況を調査し、遠藤伸治は美知代の作品群と花袋との関係の分析を行った。 今後は、さらに著作リストや年譜の修正を進めるとともに、著作権に留意しながら作品の公開をはかる予定である。
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Research Products
(11 results)