2011 Fiscal Year Research-status Report
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23520230
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
中尾 友香梨 佐賀大学, 文化教育学部, 准教授 (10441734)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 琴楽 / 琴学 / 七絃琴 / 琴人 / 琴士 / 近世 / 受容 |
Research Abstract |
本研究は近世日本における琴楽(七絃琴の音楽)の受容の様相について解明することを目的とするが、本年度はまずその基礎作業として先行研究の整理、文献調査と資料収集を行い、集めたデータにもとづいて「近世琴人データベース」と資料集『琴詩集』の作成に着手した。 データベースには近世琴人の姓・名・字・号・通称・身分・没年・享年・出身地・活動地・師弟関係などの情報を入力しており、すでに100名近くのデータを入力し終えたところである。また、資料集『琴詩集』に関しては現在220首近くの琴詩を蒐集・整理したところである。いずれも次年度に入力を続け、最終年度に補完して公開する予定である。 ほかに、柳川古文書館に赴いて柳河藩の安東省菴が所蔵していた琴と琴楽に関する資料を詳細に調査し、これを熊本の村井琴山が著した『琴山琴録』の内容と突き合わせて分析することにより、両者の琴楽受容の相違点について考察した。次年度、論文にまとめて発表する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)先行研究を蒐集・整理した。(2)近世琴人について姓・名・字・号・通称・身分・没年・享年・出身地・活動地・師弟関係の情報を入力したデータベースを構築し、文献調査によって新たに入手したデータを随時追加できるようにした。(3)文献調査を通じて蒐集した資料の中から「琴」及び「琴楽」に関する漢詩を拾い上げ、資料集『琴詩集』を作成した。(4)柳川古文書館に出向いて安東家旧蔵の琴と文献の調査を行い、ほかに『琴山琴録』、『玉堂琴譜』、『古琴精義』など近世日本の琴楽に関する諸資料も入手した。(5)安東省菴の『琴曲』と村井琴山の『琴山琴録』を比較分析し、両者の琴楽受容の相違点について考察した。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)引き続き、文献調査と資料収集を行う。(2)「近世琴人データベース」と資料集『琴詩集』を補完していく。(3)近世の諸文献資料から、「琴」及び「琴楽」に関する文章・書簡等を蒐集し、資料集『琴文集』を作成する。(4)作成したデータベースと資料集をもとに、中国伝来の「琴」及び「琴楽」が近世日本の知識階級にどのように受け入れられたかについて考察・分析を行う。(5)平成24年度には、平成23年度に取り組んだ研究の成果を学会にて発表し、論文にまとめて学術雑誌に投稿する。(6)平成25年度には、平成23・24年度に取り組んだ研究の成果を学会にて発表し、論文にまとめて学術雑誌に投稿する。また、すべての研究成果を冊子(報告書)にまとめて公刊するとともに、インターネットにも公開して、誰もが閲覧・利用できるようにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
(1)東京都立図書館・東京芸術大学附属図書館・上野学園日本音楽資料室など遠方の諸機関に赴いて文献調査を行う。(2)引き続き、柳川古文書館・熊本県立図書館など九州の諸機関に赴いて文献調査を行う。(3)研究発表のため大阪へ出張する。(4)関連分野の研究図書、及びデータ蓄積用のUSBメモリ等を購入する。
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