2013 Fiscal Year Annual Research Report
『世説新語補』を事例とした近世日本の明清漢籍受容史の研究
Project/Area Number |
23520231
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Research Institution | Nishogakusha University |
Principal Investigator |
稲田 篤信 二松學舍大學, 文学部, 教授 (20168404)
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Keywords | 世説新語補 / 和刻本 / 李卓吾 / 中井履軒 / 楊守敬 / 平賀中南 |
Research Abstract |
本研究は近世日本における『世説新語補』受容に関する研究である。まず第一に中国明清の間に出版された『世説新語補』諸版、およびわが国において刊行された2種の和刻本(元禄版本・安永版本)について、国内外の伝本の調査研究を実施した。前者については、台湾大学中央図書館(台北市)所蔵の明版焦竑序刻本、明版王潭等校訂本などを調査した。後者については、台湾故宮博物院図書文献館(台北市)所蔵の楊守敬旧蔵本の継続調査を行った。楊守敬旧蔵本は平賀中南等の説を詳細に書き入れた安永版の和刻本である。 また、次に近世の漢学者が『世説新語補』をどのように評価したかについて、大阪大学附属図書館懐徳堂文庫の中井履軒雕題本『世説新語補』を例にとって検討を行った。本書は大坂の懐徳堂主の履軒が本文に詳細な書き込みを行っているいわゆる雕題本のシリーズの一本であるが、「中井履軒『世説新語補』雕題本考」(「日本漢文学研究」9号)において、履軒の世説人物に対する辛辣な意見が書き付けられていることを明らかにした。石島筑波ら荻生徂徠の門流の人々の『世説新語補』に対する傾倒ぶりとは対照的であることが注目される。
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Research Products
(4 results)