2012 Fiscal Year Research-status Report
東海地域近世・近代能楽資料の収集・整理とデータベース化
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23520256
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Research Institution | Sugiyama Jogakuen University |
Principal Investigator |
飯塚 恵理人 椙山女学園大学, 文化情報学部, 教授 (00232132)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三木 邦弘 椙山女学園大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (80174001)
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Keywords | 能楽 / データベース / SPレコード / デジタル化 / 東海地域 / 伝統芸能 / アーカイブ / ホームページ |
Research Abstract |
・能楽笛方藤田流宗家藤田六郎兵衛師より提供頂いた、明治期の藤田六郎兵衛重政宛の宝生九郎知栄・寺田左門治・木下敬賢等の書簡約三十通を翻刻した。名古屋能楽会への出勤の謝金・面・装束の手配、囃子方・狂言方の東京から呼ぶか、地元で手配するかの交渉が主だが、明治後半は東京のシテ方からの「囃子方も東京から連れて催しに参加したい」という申し込みが多くなり、その分出費がかさむので交渉が難しかった様子が伺える。この成果については今年度刊行予定の「郷土文化」に投稿したい。 ・喜多流シテ方長田驍師より提供頂いた戦前の謡曲SPレコード、及び長田師の父で日本舞踊の劇作家だった長田午狂氏が所蔵されていた能と関連した日本舞踊レコードをデジタル化し、著作権・隣接著作権の消滅した音源については研究室ホームページより公開した。 リンク→http://zeami.ci.sugiyama-u.ac.jp/~izuka/erito1/osada-record.html ・和泉流狂言方佐藤友彦師所蔵の九冊組間狂言本(『国書総目録』で和泉元康所蔵と書かれている本)を調査し、翻刻を行っている途中である。九冊本のうち二冊目の翻刻についてはすでに「椙山女学園大学論集」に投稿した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
佐藤友彦師所蔵の間狂言伝書・脇伝書の撮影および調査や、藤田六郎兵衛家より提供頂いた書簡の撮影、翻刻などはほぼ順調に進捗している。当初予想していた数よりも佐藤家・藤田家とも点数が多く、貴重資料のため所蔵者に立ち会って頂かないと撮影できないという性格上、未だ未調査の資料が残っている。SPレコードのデジタル化も、当初予想以上の謡曲SPレコードを長田驍師や愛好家の方から提供頂いたので、まだデジタル化が終了していない音源がある。東海地域の能番組の収集・整理については、名古屋能楽堂・豊田市能楽堂開催の催しについてはほぼ網羅的に収集できているが、薪能や市町村のホールでの催しのプログラム等が集めきれていない。また集めたプログラムの入力もまだ終了していない。平成25年度は最終年度なので年度課題と共に、前年度出来なかったこれらの課題についても取り組みたい。
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Strategy for Future Research Activity |
研究室で音源のデジタル化とホームページ制作に使用していたパソコンのハードディスクが故障し、音源配信とホームページ制作が一時滞った。研究分担者の三木准教授の分担金でパソコンを購入して頂き、現在では支障はない。また当初、有料ソフトを用いて行う予定の音源加工をフリーソフトで行うことが可能と分かったため、予算の内7200円を今年度へ繰り越した。これは飯塚が平成25年度に資料整理のアルバイト謝金として使用させて頂く。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
24年度椙山の卒業生の方から提供を受けた明治からせんぜんにかけて録音された謡曲sPレコードをアルバイトの方に依頼して整理し・デジタル化する。また和泉流狂言方佐藤友彦師に提供していただいた能楽関係古文書を鶴舞古文書会都筑敏人氏の専門的知識の提供を受けつつ翻字する。25年度藤田六郎兵衛家より百通前後の未発表の明治期から戦前の能楽関係書簡の提供を受けたり、中津川の岩田家より戦前の中津川宝生会の番組綴りの提供を受けるなど、東海地域の戦前の能のプログラムやSPレコードなどの音源資料の提供を受けておりそれらの整理とデジタル化のために今年度の研究費を使用している。中津川宝生会の資料の提供者は八十を越えているが、戦前を知る古老の高齢化が進んでおり、資料の整理・デジタル化と戦前東海地域能楽史の特徴に関する研究は急いで行う必要がある。 今年度の研究費を使用してデジタル化したSPレコード音源のうち、初代梅若万三郎・桜間金太郎(弓川)・観世左近(元滋)など著作権・隣接著作権の消失したものについては椙山女学園大学飯塚研究室ホームページより配信している。また13年10月12日13日に椙山女学園大学で行われる演劇学会秋の研究集会でアーカイブショーケース展示としてアーカイブした戦前の貴重能楽音源を聴いていただくが、SPレコードよりこれに使用する音源をデジタル化するためにも用いられる。 今年は2012年2013年に東海地域で催された能楽番組も収集・整理しており、これらの番組を入力する費用にも研究費を使用したい。入力した番組を椙山女学園大学三木邦弘研究室飯塚恵理人研究室の共同管理のサーバーzeamiより公開している「能楽番組検索システム」にも加え、ネットで公開する予定である
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Research Products
(15 results)