2011 Fiscal Year Research-status Report
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23520264
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Research Institution | Soai University |
Principal Investigator |
山本 和明 相愛大学, 人間発達学部, 教授 (90249433)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 近世戯作翻刻本 |
Research Abstract |
(A)明治期の新聞・雑誌の紙面、出版月報等の資料より、可能な限り近世戯作(ならびに古典)の明治期刊行に関するデータを集積する(B)公共図書館等で閲覧調査を実施する、の2つの課題を設定していたが、本年度は(A)に少し重点を置き進めていった。(A)公開されている目録類・DB等からの基礎情報の蒐集に関して、順調に当初予定していた抽出作業を進めた。目録類として、特に古書店の刊行目録などに絞りデータ入力を行った。作成にあたり、【既存の目録類】、【新聞紙面情報】、(B)の【調査閲覧データ】を1つのDB上で入力作業を行ったが、今後(B)での調査閲覧の進展により、【既存目録データ】のうち、所蔵機関の明示されたものを【調査閲覧データ】に更新していくこととなり、検証済みかそうでないかが一瞥できる。【新聞紙面情報】にあたるものとして、具体的には読売新聞・東京日日新聞・出版書目月報等の資料より、情報収集を執り行い、可能な限りDBに反映させることができた。紙面による進行度合いに違いはあるものの、概ね計画通り収集している。(B)公共図書館等での閲覧調査に関して、当初本年度に実施予定であった地域を変更し、国文学研究資料館や都立中央図書館などの東京圏ならびに関西圏の機関で実施した。予備調査段階で、冊子目録や、外部公開DBとは別に、所蔵館内用のDBなども利用して記載データの充実を図るなどし、効率的に書冊の閲覧ならびに撮影にあたった。今年度の調査のなかで、明治期活版翻刻本のなかで紙型の流用による刊行が具体的に検証できた点、ならびに紙型流用ではないものの、活版を元版としている書冊の確認や、広告で述べていることとの差違などを具体的に確認できる作品を数点を見いだしえた。今後の公表にむけ、現在、論文を構想中である。また調査時に確認しえた書冊での発見をもとに論文を1本公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(A)新聞記事等からの情報収集に関しては概ね順調と言える。出版書目月報などからのデータ収集では、今回の研究対象が近世戯作の明治期刊行物ということもあり、ある年次に集中して出版申請がなされているため、情報件数も多く、入力に時間のかかる面は否めないが、相応の時間をあてるため今後も支障はない。新聞広告の場合、同一書冊の広告でも掲載紙あるいは時期によって文面に変更がみられることも多く、現状のデータ化においては一点一点のデータとして進めている。新聞広告の画像データ収集は進捗状況をみて集中的に執り行うことにした。(B)各図書館等の機関への調査閲覧ならびに収集に関し、本年度は北海道東北地区調査を中心に研究を予定していた。しかし、今般の未曽有の東北の震災の影響を鑑み変更し、東京圏や関西圏での調査を実施した。変更した上での達成度については、概ね順調といえるが、画像撮影の点で、業者依頼のみで可能な場合もあり、研究成果公表を将来ウェブ上で行うことは許可しないという機関もあるため、そうした場合、ひとまず文書データのみでの収集を行っている。各所蔵機関目録や書目DBなどから、ある程度、一図書館での点数を掌握した上で、調査収集にあたっているため、各機関での調査日数も想定できるのだが、集中しての調査日数を確保できない点があり、時間の調整に問題を残している。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度に使用する研究費が生じた理由は二点ある。 ひとつは当初本年度実施予定であった機関を北海道・東北としていたこと。今般の震災の影響をうけ、交通機関の復旧など諸般の影響をうけ、当初予定していた時期には実施困難であったことがあげられる。旅費等で複数日にわたっての調査を考えて予算計上していたため、出張場所の変更がそのまま使用した経費に反映している。 もう一つには購入予定書冊がどうしても古書籍となるため、入手出来なかったという経緯もある。一部は昨今の情勢を反映してか、デジタル媒体でWEB上で閲覧可能となったものもあったため、購入見送りにしたものもある。また使用機器購入にあたって、入荷待ちになっていたものもあって本年度内の執行ができなかった。 翌年度には本年度予定していた東北などへの調査を計画に追加して考えており、特に支障はないものと考える。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は以下のことを計画している。(A)公開されている目録類・DB等からの基礎情報の蒐集に関しては引き続き継続して実施していく。特に基礎的なデータとなるため、本年度に出来ていない明治20年代後半から大正までの基礎的なデータを追記したい。ただし叢書類に入るものも多く、それらをどこまで記載していくかの検討を経てからとなる。【新聞紙面情報】にあたるものとして、こちらも継続して読売新聞・東京日日新聞・出版書目月報等の資料より情報収集を執り行いたい。こちらは、順調にデータ収集が進めば、絵入自由新聞などの紙面を情報源に加えることを計画している。(B)各図書館等の機関への調査閲覧ならびに収集に関し、本年度当初予定していた北海道東北地区調査を加えて研究を行う。ただし、東北大学狩野文庫は、復旧状況を確認していないため、平成25年度での調査先としたい。また本年度東京圏の調査先とした国文学研究資料館等はまだ調査すべきものがあるため継続し、加えて本年度実施できなかった東京大学明治新聞雑誌文庫への調査を実施する。早稲田大学図書館は、当初想定していた作品を含め、多く画像公開が進んでいるため、一旦画像データによりDB化を進めることとする。24年以降の調査予定先は次の通り。酒田市立光丘文庫・函館市立図書館・東北大学狩野文庫(25年)・都立中央図書館・東京大学総合図書館・国文学研究資料館・静岡県立図書館・大阪府立中之島図書館・京都大学附属図書館・小浜市立図書館・住吉大社御文庫・篠山市立青山文庫・岡山大学附属図書館等。
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Research Products
(1 results)