2011 Fiscal Year Research-status Report
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23520265
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Research Institution | Kobe College |
Principal Investigator |
藏中 さやか 神戸女学院大学, 文学部, 教授 (80309426)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 国文学 / 中世文学 / 和歌文学 / 歌題集成書 / 題詠 / 組題 |
Research Abstract |
研究初年度にあたる今年度は、基礎データと関連資料及び情報の収集に重点を置いた。各書目のフルテキストデータ化と作成データの確認作業を中心に進行した。和歌題林抄(書陵部)、明題部類抄(青山会)、三十首組題抜書(国立歴史博物館)等の写本類に加えて、版本である掌中和歌明題集についても新たにテキスト化をおこない、分析対象に加えた。版本類のうち、和歌組題集の成立周辺については既に一定の成果を収めているが、その他のものについても考察対象とすることで、近世における歌題集成書の生成と受容について広く取りあげることが可能となろう。写本類については、既にデータ化が完了しているものと照応することで、個々の取材源や系統が明らかになるものも含まれると考えられる。今年度は、基礎作業が中心となったが、次年度以降、具体的な分析に入っていけるものと考えている。資料収集は国文学研究資料館の他、学会時の資料展観の機会等を積極的に利用した。また既に作成し終えている手元のデータを含めた分析にも着手した。具体的には、配列や構成、特定組題の所収状況から各史料間の共通事項や独自性について考察した。研究初年度を終えた現時点では公表に値する成果は得られていないが、継続して分析に取り組んでいきたい。また継続課題として取り組んでいた『明題古今抄』に関する研究についてはその研究に一区切りがついたところから、活字業績としてまとめ、学会誌に発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ここまで予定していたデータ入力については、対象書目数を減らしたことで順調に進行し、現在、確認作業に移行することができているため。ただし、外部委託による入力作業の納品時期が遅れたため、年度内の補助者による入力データ確認作業については見合わせた。
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Strategy for Future Research Activity |
入力データの確認作業を継続しつつ、歌題集成書類のグルーピングを進める。分類として確立できたものの中から特に一つの分類のみを取りあげて深く考察する予定である。同時代の歌集や古記録類の記述から、歌題集成書類に含まれる詠作機会の特定をおこなう。引き続き資料収集とデータ入力作業とを継続し、手元資料の充実をはかる。『題会之庭訓』『冷泉家秘伝』『和歌条々』『和歌功能』等の歌題に関わる記述と照らし、歌道家との繋がりを考え、歌題集成書類の果たした役割を考える。尚、次年度使用額が生じたが、これは、データ入力の際に対象書目数を減らしたこと、外部委託を抑え自身での作業に振り替えたことによる。当該金額については次年度にデータ作成のための費用として使用する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究2年次となるが、研究費目は今年度と大きく変わることはなく、当初の計画通り進行する予定である。伝本調査のための旅費、文献複写費が必要となる他、引き続きデータ入力作業の委託を予定している。既に作成したデータの確認作業も進めるため確認補助者への謝金も必要となろう。
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