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2011 Fiscal Year Research-status Report

江戸時代日本語語源研究の文化史的意義の解明

Research Project

Project/Area Number 23520270
Research InstitutionKobe City College of Technology

Principal Investigator

土居 文人  神戸市立工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (20300600)

Project Period (FY) 2011-04-28 – 2014-03-31
Keywords国語学 / 国語史 / 文化史
Research Abstract

江戸時代日本語語源研究書のリスト作成に着手した。また、江戸時代最初の語源辞書である松永貞徳著『和句解』の翻刻および研究を実施した。 前者については、先行研究書である、前田富祺監修『日本語源大辞典』付録「語源説出典の解説」、小松寿雄ら編『新明解語源辞典』付録「語源関係書目」を参照しつつ、主に承認研修先の京都大学文学部で文献資料の調査を行い、「江戸時代語源研究文献調査票」に記録を取り、必要事項を電子データ(エクセル)に蓄積した。本寂『和語私臆集』などの稀覯の重要文献については、国会図書館・国文学研究資料館で文献調査を行った。既知の江戸時代語源研究書を体系的に整理し、特に重要な資料の性格を明らかにしつつある。 後者については、『和句解』の見出し語(和語)が、草書本『節用集』の縮刷本として元和・寛永期に出版されて流布した横本『二躰節用集』に項目を補足した、現存しない未知の『二躰節用集』から抄出されていることを実証した。貞徳が参照したこの『二躰節用集』が、寿閑本系の節用集・『真草二行節用集』諸本でないことは、『和句解』の見出し語の配列から証明された。この成果は「第104回訓点語学会」で口頭発表した。さらに、『和句解』の和語の語源説に、清原宣賢『日本書紀抄』(後抄本)に由来する知識が取り込まれていることが明らかになった。貞徳が、『和句解』を執筆するにあたり、見出し語は同時代の『二躰節用集』から抄出し、語源説は『袖中抄』や宣賢『日本書紀抄』などの中世の和学の成果を取り入れていることがわかった。つまり、本書が、寛永文化の基本的性格である「文化の総合性と啓蒙性」の一産物であることが明確になった。惺窩・貞徳・羅山らによる和語の研究グループの存在が想定される。本書の語源説には、『塵添アイ嚢鈔』と共通する知識も見られるなど、本書が当時の雑学が集積された書物としての価値を持つこともわかった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

『和句解』の翻刻の草稿は出来上がっており、後は、若干の未解読箇所と、凡例・索引の作成を残すのみである。語源説の典拠も多く見つかっており、『和句解』の基礎研究は順調に進んでいる。 『和句解』の編纂方法とその文化史的位置づけについて考察した学術論文の完成は遅れている。「清原宣賢『日本書紀抄』の本書の語源説への影響」という重要な問題が新たに見つかったことや、本書の語源説に取り入れられている逸話や知識の典拠探し(中世の歌学書、『塵添アイ嚢鈔』など)に時間と労力がかかっていることが理由である。ただし、平成24年度中には、完成させて、学術雑誌または学会誌に発表する予定である。 江戸時代の日本語語源研究書のリストの作成も、上記の『和句解』論文執筆の遅れと同じ理由から、やや遅れているが、平成25年度の完成に向けて、堅実に文献資料の調査と必要な事項の電子データ(エクセル)蓄積を継続している。

Strategy for Future Research Activity

「収支状況報告書」の「次年度使用額」は、2,084円である。これは、平成23年度に使用した旅費・文献複写費・書籍購入費などの合計が、平成23年度に使用できる研究費の金額よりも若干少なくなったため生じた金額である。平成24年度に、文献複写・書籍購入などの目的で使用する。 平成24年度は、清原宣賢『日本書紀抄』、『塵添アイ嚢鈔』を再度精査し、『和句解』の語源説における、中世の和学や類書にある知識の取り込みについて可能な限り明らかにする。また、江戸時代初期の惺窩・貞徳・羅山らによる和語研究グループの存在の可能性を探る。『和句解』に、ワ行のゐを「ためゐ」と書いている箇所があり、同様の記述のある、林永喜『仮名書』(東大国語研究室蔵)を調査することで、新事実がわかる可能性がある。これらの調査・研究の成果がある程度まとまったところで、現在執筆中の、『和句解』の編纂方法とその文化史的位置づけについて考察した学術論文を完成させ、学術雑誌または学会誌に投稿する。また、『和句解』の翻刻を凡例・索引とともに完成させ、出版用の原稿を作成する。 江戸時代の日本語語源研究書のリストの作成(紙ベースの調査票と、電子データの蓄積)を進める。さらに、江戸時代日本語語源研究の体系化を行う。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

平成24年度の研究費は、一部を東京出張の旅費として使用する。出張先は、静嘉堂文庫(『和句解』翻刻の最終確認のための原本調査)、国会図書館または国文学研究資料館(江戸時代語源研究書のうち、原本で内容を確認する必要のある重要なものについての調査)である。また、一部を、マイクロ資料の複写費として使用する予定である。また、一部を、国文学研究資料館所蔵のマイクロ資料の紙焼き本を取り寄せて閲覧する料金、必要な研究書の購入費としても使用する予定である。

  • Research Products

    (1 results)

All 2011

All Presentation (1 results)

  • [Presentation] 語源辞書『和句解』見出し語の依拠資料-易林本系節用集との比較-2011

    • Author(s)
      土居文人
    • Organizer
      第104回訓点語学会研究発表会
    • Place of Presentation
      京都大学文学部
    • Year and Date
      2011年5月22日

URL: 

Published: 2013-07-10  

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