2011 Fiscal Year Research-status Report
歌仙絵の資料調査とその成立及び流布に関する総合的研究
Project/Area Number |
23520271
|
Research Institution | National Institute of Japanese Literature |
Principal Investigator |
寺島 恒世 国文学研究資料館, 研究部, 教授 (80143080)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
|
Keywords | 三十六歌仙絵 / 藤房本三十六歌仙絵 / 時代不同歌合絵 |
Research Abstract |
研究計画1年目の平成23年度は、当初の計画通り三十六歌仙絵を中心に据え、研究を進めた。具体的に行った作業は大きく三つあり、一つは従来収集した調査データの整理、二つは新たな調査・収集に向けた実施可能な計画案の策定、そして三つは重要資料の調査である。 一つ目については、海外所蔵資料を含む既調査資料を再検討するとともに、諸先行論文を収集し、それらを検討することを通して、現状を把握し、問題の所在を確認した。二つ目については、本務との関わりを踏まえ、資料所蔵機関・文庫の状況を調査し、実行可能な調査・収集計画を策定した。三つめについては、三十六歌仙絵のうち、具体的に藤房本に関する調査・収集を行い、その詳細な研究を行った。 三つ目の調査・収集に関しては、そもそも藤房本三十六歌仙は伝存資料が少なく、知られているのはニューヨーク公立図書館スペンサーコレクション蔵本、国文学研究資料館蔵本、及び三重県伊勢市の神宮文庫蔵本が主なものである。そのうち前二者は調査済みであり、本研究において神宮文庫本の調査及び画像撮影による収集を行った。その上で、前二者との比較・検討を行い、論文作成に向けて検討を開始した。 それら三十六歌仙絵の研究を中心に進める一方、平成24年度以降に研究を進める予定であった時代不同歌合についての検討を行い、その考察を進めた。具体的にその歌合の性格と歌仙絵の分析からその編者の思惑を推論する作業を重ね、論文原稿を作成した(現在入稿中)。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初計画では、上記の三つめの調査機関・文庫等を複数箇所想定していたが、少ない箇所しか調査できなかったのは、勤務先の業務が予想を超えた過大なものとなり、出張が困難になったことが最も大きな原因である。 その対応策として、当初計画では平成24年度以降に研究を進める予定の時代不同歌合絵の考察を進めることとし、論文を作成することとした。既調査資料を分析する作業と考察は、研究室においても可能であるからである。それにより大幅な遅れを取ることは避け得た。
|
Strategy for Future Research Activity |
昨年度調査が不可能となった箇所を加え、可能な限り広く調査と収集を重ねたい。 具体的方策としては、本務である業務の効率化を図ることにより、研究時間を生み出すことが挙げられる。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
昨年度未使用金額が生じた理由は、上にも述べた通り、勤務先の業務が予想を超えた過大なものとなり、出張が困難になったことが最も大きな原因である。 平成24年度は、業務の効率化を図り、負担を軽減する方途を講じて、出張機会を増加させ、当初予定の資料調査を行い、そのデータの収集を図りたい。
|