2012 Fiscal Year Research-status Report
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23520274
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Research Institution | Paleological Association of Japan Inc. |
Principal Investigator |
藤本 孝一 (財)古代學協会, その他部局等, 研究員 (90124320)
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Keywords | 源氏物語 |
Research Abstract |
源氏物語は日本を代表する世界的な文学書である。この物語は西暦1千年前後に執筆されて以来、写本で読み継がれてきた。写本のため、書写者の違いにより、多くの間違いや改変が行われてきた。そのために、意味や筋書きが不明になっていた。池田亀鑑氏は昭和30年代に『源氏物語大成』を編集出版し、現在の定本になっている。池田氏は、本文系統を青表紙本系・河内本系・別本系の3系統に分けた。その中で、底本を青表紙本とし、その代表写本として大島本を採用した。その結果、現在読まれている源氏物語は大島本を定本としている。 本研究は、大島本源氏物語の本文研究である。池田氏の底本採用は、おおよそ校訂された本文を採用している。しかし、大島本は文禄年間以降から江戸時代にかけて2・3回全面的に他本により訂正されている。そのために、書写当初の姿が消されていて、江戸時代の読みやすい本文になっている。その結果、河内本などと校合すると相違が多数できている。ところが、大島本を調査すると、校訂されていない本文は、河内本と類似した多くの個所を発見することができる。 本研究は、この訂正されていない文明年間の書写当初の原文を復元するのが目的である。現在まで、大島本の当初の本文と河内本の本文を比較すると、同じ本文が多数確認された。そうなると、河内本系は大島本の青表紙系とが兄弟関係の系統になり、河内本系統を別に建てることがないことが判明しつつある。大島本を全編にわたって校訂することにより、新しい大島本の姿を復元し、さらなる、源氏物語本文研に貢献したい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概ね大島本の『柏木』まで本文検討が進んでいる。さらに、青表紙本『行幸』(旧関戸家蔵)の巻を調査することができた。この写本は定家右筆本で、ほとんどの研究者は調査されていないものである。『行幸』と大島本とを比較できたことが、本年度の最大の成果である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、『横笛』から最後の巻の『夢浮橋』までの本文調査を終えたい。さらに、定家本の『早蕨』(重要文化財)を調査して、大島本と校訂する予定である。また、他所蔵者の源氏物語を調査する。本研究の成果として、源氏物語の本文とは何かを発表したい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究の成果は、藤原定家の書写本源氏物語(青表紙本)を飛鳥井政康が書写した大島本源氏物語の当初の文字を再現したことにある。この成果である本文全体を公開する計画である。インターネットによるか出版物によるかは未定であるが、公開を計画している。また青表紙本の定家原本『行幸』『早蕨』は公開されていない。さらに、源氏物語和歌の根本である勅撰集の古今和歌集の未公開の鎌倉時代写本等を、本研究中に発見することができた。『行幸』『早蕨』『古今和歌集』等を、写真による覆製本で出版する予定である。
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Research Products
(1 results)