2012 Fiscal Year Research-status Report
明治・大正・昭和前期における児童出版文化史の研究 元博文館編集者の書簡調査から
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23520275
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Research Institution | International Institute for Childrens Literature Osaka |
Principal Investigator |
土居 安子 (財)大阪国際児童文学館, その他部局等, 研究員 (00416257)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遠藤 純 (財)大阪国際児童文学館, その他部局等, 研究員 (10416258)
小松 聡子 (財)大阪国際児童文学館, その他部局等, 研究員 (90416256)
酒井 晶代 愛知淑徳大学, 公私立大学の部局等, 教授 (10279953)
三宅 興子 梅花女子大学, その他部局等, 名誉教授 (80166131)
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Keywords | 児童文学 / 書簡研究 / 児童書出版史 / 大正・昭和前期 |
Research Abstract |
2012年度は、2011年度に引き続き、南部新一(明治・大正期の代表的な出版社であった博文館の児童書、児童雑誌の編集者であり、児童文学作家としても活躍した人物)の書簡約2800通を撮影し、それらの基本的なデータ化(差出人、封筒および葉書の数)を行った。これにより、南部新一書簡の全貌が明らかになった。それによって、南部新一が多くの作家、画家、出版人と交流があったことがわかり、本研究の目的である児童雑誌研究、児童出版研究、作家研究等の研究対象としての価値を確認することができた。 本年度はその中から、博文館編集者であり、児童文学作家でもあり、同時に、南部新一との親交が深かった巌谷小波、木村小舟、武田桜桃を選び、著作権調査・処理を行うと同時に、翻刻を行い、それぞれの書簡の時代的背景、書かれている内容について研究を行った。 これらの成果は、第50回日本児童文学学会研究大会でラウンドテーブルにて報告し、また、それを発展させて『国際児童文学館紀要』26号で成果の一部を発表した。 巌谷小波からの書簡では、博文館と巌谷小波の関係、巌谷小波の雑誌編集の方法などが明らかになった。また、木村小舟からの書簡においては、南部新一が博文館を退館して新たに出版社を立ち上げる時期の詳細なやりとりが書かれており、当時の児童雑誌出版の状況が明らかになった。加えて武田桜桃からの書簡では、編集助手である南部新一に対して細かい編集方法の指示が書かれており、大正期の雑誌編集のありようや編集者武田桜桃の人物像が明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた5000通を上回る5275通をすべて写真撮影し、現在、データベース化を行っている。翻刻については、書簡数が多く、かつ児童書出版史に関連の深い人物3名に絞って行い、著作権調査・処理もその3名については行ったが、それ以外の公開に向けての著作権処理は来年度に行う予定である。計画通り継続的に研究会を行い、日本児童文学学会の研究大会においてラウンドテーブルを実施し、『国際児童文学館紀要』26号に成果を発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画どおり、撮影を行った約5300通の書簡について1通づつのデータベース化を行う。そして、差出人の調査を行って、公開に向けて著作権の処理を行う。同時に定期的に研究会を開催し、2012年度に対象にした差出人以外の書簡についても可能な範囲で翻刻を行い、調査、研究する。研究会の成果は『国際児童文学館紀要』27号に発表する。加えて第51回日本児童文学学会研究大会において本研究に関わる講演会、およびシンポジウムを実施する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初の計画どおり、報告書印刷費、研究会または講演会・シンポジウム参加のための旅費、シンポジウム登壇者への謝礼、データベース化の人件費、著作権処理に関わる経費等に使用する予定である。なお、2013年度に繰り越す123,900円は、データベース化の人件費に使用する予定である。
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Research Products
(4 results)