2013 Fiscal Year Research-status Report
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23520294
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
上原 早苗 名古屋大学, 国際言語文化研究科, 教授 (00256025)
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Keywords | イギリス文学 / ハーディ / 草稿研究 / 生成批評版 / 検閲 / 自己検閲 |
Research Abstract |
トマス・ハーディは『森林地の人々』(The Woodlanders、初出1887年)の原稿を執筆するにあたり、推敲に推敲を重ねたがその生成過程は未だ明らかにされていない。(Kramerの校訂版は、原稿内部の改変が解読されていない。)本研究の目的は、ハーディの自筆原稿内部の異同を検証することで、『森林地の人々』の創作過程を解明しようとするものである。 平成25年度は、当初の予定どおり、ハーディの自筆原稿第498葉までを解読し、生成批評版の作成に入ったところである。またThe Woodlandersの創作パターンはJude the Obscureのそれに類似するところがあり、Jude the Obscureの改変についても今年度は分析の俎上に載せることにした。その成果の一部は、1st International Conference on Narrative: Hardy and James(名古屋大学大学院国際言語文化研究科主催)で発表した。またハーディの手入れには、出版社による介入が認められるが、明治期のハーディ小説の翻訳にも出版社による介入が認められる。両者の比較研究は文化的・言語的観点から意味があるため、昨年度、イギリスの学会で発表したが、この加筆修正版をGlobal Hardy ProjectとしてLiterature Compassに掲載したいとの申し出を受けたので、現在、投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度の研究目的は主として、ハーディの自筆原稿第361葉から498葉までの解読に従事するところにあった。その計画どおり、第498葉までの解読を終了することができたことから、また、注釈をつける作業も予定どおり進んでいることから、研究は順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、『森林地の人々』の改変の注釈を完成させる。錯綜とした執筆段階を再確認するため、夏期休暇中に、ドーチェスター歴史資料館にて原稿の実物を見ながら最終チェックを行う。また解読した資料をもとに、生成批評版を作成し、ARM社から刊行する。
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