2014 Fiscal Year Annual Research Report
アメリカン・ルネッサンス文学にみる旅の表象と旅行文学の系譜
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23520306
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
城戸 光世 広島大学, 総合科学研究科, 准教授 (10351991)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | アメリカン・ルネサンス / トラヴェル・ライティング / ナサニエル・ホーソーン / マーガレット・フラー / ピーボディ姉妹 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、19世紀中葉のアメリカ東部における代表的な作家たちのうち、広範に旅を行ったフラーやホーソーンらの諸作品に焦点を当て、当時の交通革命を背景に隆盛をみていたツーリズムや、地域や国や大陸を超えた空間移動について、彼らがどのように描出しているかを検証し、旅や移動の体験が彼らの創作にどのような影響を与えているかを考察するものである。四年間の研究成果としては、本年度の日本ナサニエル・ホーソーン協会全国大会シンポジウム<旅する19世紀アメリカ作家たち――自然・風景・いきもの>司会・発表を含む研究発表4件、共編者を務めた『越境する女―19世紀女性作家たちの挑戦』(開文社、2014)を含む共著5冊、ピュリツァー賞最終候補となった伝記の翻訳書『ピーボディ姉妹』(南雲堂、2013)1冊他をあげることができる。観光業の揺籃期にあたるこの時期に、作家たちが具体的にどのような旅行をしたのか、当時の資料とテクストを突き合わせつつ再構築し、また彼らが旅という行為についてどのように捉えていたのか、作品に描かれた旅の表象を通して考察することによって、アメリカ旅行文学の系譜に彼らの諸作品を位置づけることにある程度成功したのではないかと考える。とりわけ大きな成果となったのは、これまで作家ホーソーンの妻としてのみ注目されることの多かったソファイア・ピーボディ・ホーソーンの、キューバやヨーロッパなどの外国体験記の優れた書き手としての評価を、学会発表や『アメリカン・ルネサンス―批評の新生』をはじめとする共著論文などで確立することに貢献できたことである。これらの成果をもとに、日本ではまだ研究の少ないセジウィックをやストウら他の19世紀女性作家たちの旅のテクストについても研究を拡げ、メルヴィルやエマソンらのトラヴェルライティングと比較検討していけたらと考える。
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Research Products
(3 results)