2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23520309
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
谷口 秀子 九州大学, 言語文化研究科(研究院), 教授 (70179092)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 男装 / ジェンダー / 児童文学 / 漫画 |
Research Abstract |
1950年代以降の英米の児童文学およびヤングアダルト文学における男装の意味とその変遷という研究課題の実施にあたり、平成23年度においては、以下のことを行った。(1)イギリスとアメリカの男装を含む児童文学およびヤングアダルト文学作品の収集を行い、現時点で入手できた作品について、ポイントとなると思われる作品の抽出に着手した。また、抽出した作品の内容の分析とデータベース化にも着手した。(2)比較対象のため、男装を含む日本の少女漫画、児童文学、ライトノベル、小説などの作品(アニメやドラマなどの映像作品を含む)を収集した。そして、現時点までに入手した作品のうち重要と思われる作品について、内容の分析とデータベース化に着手した。さらに、日本の現代小説における修辞的な男装について論じた論文「『僕はかぐや姫』における『男装』」を執筆し、日本語ジェンダー学会の学会誌『日本語とジェンダー』に投稿し受理された。(現在印刷中)(3)比較検討のため、英米におけるフェミニズム童話作品の分析を行った。そして、日本におけるフェミニズム童話の受容に関する論文「The Clever Princessから『アリーテ姫の冒険へ』」を執筆した。(現在印刷中)(4)ジェンダー論、現代史、男装、女装、服装、社会学、児童文学理論などに関する文献を収集した。(5)The 20th Biennial Congress of International Research Society for Children's Literature (於オーストラリア・クイーンズランド工科大学)に出席し、研究発表を行うとともに、多くの児童文学研究者と研究に関する意見交換を行い、現地で文献の収集を行った。 上記の研究活動により、英米および日本における男装の概要をある程度把握することができ、今後の本研究遂行の基盤をつくることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度の研究実施計画に記載した(1)男装に関する文献の収集、(2)男装を含む英米の児童文学、ヤングアダルト文学などの作品の収集、(3)ジェンダー論、男装、服装、現代史、社会学、児童文学関連の文献の収集、(4)児童文学に関する国際会議での研究発表と研究に関する意見交換および現地での資料収集、(5)収集した作品の分析と分類、およびデータベース化 (6)ポイントとなる作品の抽出 (7)男装の作品の理論的考察、(8)論文執筆の準備、について、おおむね計画通りに進んでいる。しかしながら、英米の男装を扱った作品の収集に関しては、絶版になっていたり入手不可能であったりする作品も少なくないため、予定よりも作品の収集がやや遅れている。一方で、英米の児童文学作品との比較対照のために研究を進めている、男装を扱った日本の作品や英米のフェミニズム童話作品については、現時点での成果をもとに2本の論文を執筆した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、平成23年度の研究成果をもとに、通時的な視点を導入して、男装の変遷についてもさらに研究を深めていきたいと考える。今後の研究の計画は以下の通りである。 (1)引き続き、男装を扱った英米の作品の収集に努める。(2)引き続き、ジェンダー論、男装、服装、社会学などの文献を収集する。(3)引き続き、比較対象のため、男装を扱った日本の作品、および、英米のフェミニズム童話を収集する。(4)男装の女性像の分析のポイントとなる作品の抽出と分析を行い、データベース化する。(5)研究目的に揚げた観点から、男装の女性を扱った作品の理論的考察を行う。(6)これまでに得られた研究成果を発表するとともに、本研究が明らかにしようとしている課題についての論考をまとめた論文執筆の準備を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費の使用計画は、以下の通りである。(1)書籍(英米の児童文学、ヤングアダルト文学、小説、ロマンス小説、漫画、アニメなど。日本の少女漫画、児童文学、ライトノベル、小説、アニメなど。フェミニズム童話および関連図書。ジェンダー論、社会学、男装関連図書。)(2)旅費(国際学会および国内学会への出席・成果発表。資料収集。)(3)人件費・謝金(資料整理の補助)(4)文具・コンピュータ関連消耗品、複写費など。
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Research Products
(6 results)