2012 Fiscal Year Research-status Report
共和制コスモポリタニズムからみるアメリカ近代化の様相
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23520319
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
若林 麻希子 青山学院大学, 文学部, 教授 (50323738)
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Keywords | 英米文学 / 建国期アメリカ / コスモポリタニスム / アメリカ歴史小説 / James Fenimore Cooper / Washington Irving |
Research Abstract |
コスモポリタニズムの伝統の推移を、主に、Washington Irvingによる旅行記を題材にして、外交問題との関連の中で考察するため、一次資料の収集・調査およびニューヨークでの現地資料調査を行った。具体的には、2012年8月、New York Public LibraryおよびNew York Historical Societyでの資料収集・調査に加え、Washington Irving所縁の土地であるニューヨーク郊外の土地、Tarry Town、Sleepy Hollow等を訪問し、植民地時代から独立革命期に至る、その土地独特の歴史について調査し、Irvingのコスモポリタニズム的イマジネーションの源について思考を深めることが出来た。また、2013年3月には、再度、ニューヨークを訪れ、New York Public Library、New York Historical Society、更にはCity Museum of New Yorkにおいて、Irving関係の一次、二次資料の収集・調査を行った。 これらの調査・研究を通して、Washington Irvingという作家が、建国期のアメリカにあって、単にヨーロッパ的なアメリカの起源にノスタルジックな眼差しを向けていた作家であったばかりではなく、近代化や産業革命の波に押されて過去や伝統を見失いつつあるヨーロッパに対して批判的であったこと、そして、そのようなヨーロッパの「過ち」を繰り返さないための国造りについて積極的に想いを馳せていた作家であることが理解できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ニューヨークにおける現地調査によって、植民地時代から建国期に至る歴史的資料の収集・調査に大きな成果があった。このことによって、本年度の課題であったWashington Irvingについてのみならず、前年度から調査を続けているJames Fenimore Cooperについての考察も深めることが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
James Fenimore CooperおよびWashington Irvingについての調査、研究は引き続き継続して行う。その上で、今後は、Catharine Maria Sedgwickによる風俗小説を主たる題材に用いて、産業革命とコスモポリタニズムの関係性を、階級意識の変遷と絡めながら考察する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
Catherin Maria Sedgwick関連の1次資料およびアメリカ産業革命期における階級意識に関する2次資料を購入すること、およびニューヨークでの現地資料調査のための旅費として、主に、研究費を使用する予定である。
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