2011 Fiscal Year Research-status Report
ワイルド受容の系譜―日本と英語圏諸国との比較研究―
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23520322
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Research Institution | Kyoto Women's University |
Principal Investigator |
日高 真帆 京都女子大学, 文学部, 准教授 (90407619)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 比較文学 / 比較文化 / 英米文学 / 演劇学 / Performance Studies |
Research Abstract |
本研究の「研究の目的」を達成するための本年度の「研究実施計画」に則して、平成23年度は以下のような研究実績を挙げることができた。 第一に、国内外のワイルド研究や演劇研究の動向の把握に努めると共に、日本のみならずオーストラリアやアイルランドにおける劇場等での現地取材を含め、研究課題の関連資料の収集・分析を行うことができた。また、ワイルド劇の受容の場として、19世紀後半から現代に至るまでの日本の演劇事情の調査研究を進め、その際、特に島村抱月が日本におけるワイルド受容の初期に如何なる貢献を果たしたのかを追究した。このような研究の一方で、ワイルドによる原作の研究も進め、多角的な研究に努めた。 以上の研究成果の一端は、共著『比較文化の響宴』(英光社、2011年)において、単著論文「肖像画からバンベリズムへ―ワイルド作品に於ける「二重生活」の変容―」(PP.122-133)として発表した。また、平成23年8月7日から12日まで大阪大学で開催された International Federation for Theatre Research (FIRT/IFTR) の国際大会において"When Japanese Tradition Meets a Western "Wit and Dramatist": Early Japanese Reception of Oscar Wilde"と題する研究発表を行った。 前者はワイルドの作品研究であり、ワイルドが異なるジャンルの作品を通して「二重生活」のテーマを如何に多角的に展開させたかについて分析した。後者は日本におけるワイルド受容に関する研究であり、特に演劇に焦点を当てて考察を深めた。いずれも本研究の骨子に関わる研究成果と言え、次年度以降の研究活動の礎としても意義深い。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
三年計画による本研究の主たる目的は次の二点である。第一の目的は、日本と英語圏諸国(特にイギリス、アイルランド、オーストラリア、アメリカ)におけるワイルドの受容状況の比較研究を行うことである。その比較対照により、日本におけるワイルド受容の特徴をも浮き彫りにする。第二の目的は、日本におけるワイルド劇の受容史を構築することである。その際、従来日本で注目度が低かった喜劇作品の受容にも重点を置き、より均衡の取れた受容史の構築を目指す。また、演劇に焦点を当てながらも、ワイルドの戯曲以外の作品受容にまで視野を広げてこそ、ワイルド劇自体の受容の全貌が明らかになるため、ジャンルを超えた多角的な研究を行うこととする。 以上のような研究の目的について、本年度は、第一の目的にあるオーストラリアにおけるワイルドの受容状況について、歴史的な劇場等における現地取材及びオーストラリア国内の主要な図書館における資料収集を行うことができ、非常に有意義であった。また、アイルランドでの受容についても、今後の研究の方向性を確認すると共に、資料収集を行うことができた。第二の目的にある喜劇作品の受容の特徴に関する考察やワイルドによる複数のジャンルの作品の研究についても、具体的に研究を進め、今後の研究についての展望も得ることができた。特に、日本でのワイルド受容について、島村抱月について具体的な調査研究が進められた点も有意義であった。研究成果は、国際学会における研究発表や研究論文の出版を通して広く公表しており、更に、それらを通して今後の発展に繋がる新たな知見を得ることもできた。 以上のことから、当初の計画通り順調に研究が進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は、平成23年度に得られた結果を基にして、過去一世紀以上の間に日本におけるワイルド受容のあり方が大きく変容してきた点に着眼し、日本国内の演劇事情について研究を深める。また、主要な英語圏諸国での受容のあり方と比較考察することで、日本における受容の特徴を明らかにする。更に、国内外の研究出張も積極的に行い、現地取材を通して作家や上演に関する貴重な資料を収集する。 研究成果は随時学会での研究発表や論文刊行により公表する予定である。その一環として、平成24年度に出版予定の比較文化研究に関する共著において研究論文を発表し、広く一般に研究成果を公表する。また、平成24年7月30日から8月3日までカナダのコンコルディア大学において開催される International Association for the Study of Irish Literatures (IASIL) の2012年度国際大会にて研究発表を行う予定である。 平成25年度には、平成23年度及び平成24年度に得られた成果を基にして、日本におけるワイルド劇の受容に関する研究総括を行う予定である。その際、受容研究と連動させた形でワイルドの作品研究も行う。特に、従来日本で注目度が低かった喜劇作品の受容にも重点を置き、より均衡の取れた受容史の構築を目指す。また、ワイルド劇の受容の全貌を把握するためにも、より広い観点に立って戯曲以外の作品をも研究対象とし、ワイルド劇の再評価と受容史の構築を行う。更に、日本と英語圏諸国との比較研究を通して明らかになったワイルド受容の系譜について、得られた結果を取りまとめ、成果の発表を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし。
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Research Products
(2 results)