• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

2011 Fiscal Year Research-status Report

近代初期イングランド演劇にみるシャリヴァリ表象と演劇のパブリック圏創出機能

Research Project

Project/Area Number 23520337
Research InstitutionKanto Gakuin University

Principal Investigator

中村 友紀  関東学院大学, 経済学部, 准教授 (80529701)

Project Period (FY) 2011-04-28 – 2014-03-31
Keywords近代初期イングランド / 演劇 / 復讐劇 / 心性 / 公共性 / パブリック圏 / 民衆文化 / シャリヴァリ
Research Abstract

2011年度は近代初期イングランド演劇の場に初期段階パブリック圏が出現する諸条件を探った。文学批評や歴史研究の理論を応用し、戯曲および記録文書を検証した。特に注目したのは、16世紀後半から17世紀前半に興隆をみた復讐劇分野において顕著な、権利や法、正義に関わる意識である。また、社会と個人の関係性や個人の自己認識との関連性を考察した。 意義としては、ハーバマス的公共性の観点から復讐劇のジャンル批評がまだ多くなされていない状況で、先鞭をつけたことである。パフォーミング・アーツ研究分野では公共性的観点からの研究は多く行われているが、近代初期文学研究、ルネサンス研究、あるいは文化史研究から17世紀イングランドに公共性をあてはめる試みはまだ多くはない。世界的なトレンドを見ても、現時点では出版物も少しずつ増え始めた段階にすぎない。現時点で本研究が新たな指摘を行う余地があり、学界への成果のアピールには大きな意義がある。 公共圏の概念は、ハーバマスにおいては主に18世紀以降に関して論じられているが、しかし、その萌芽は16世紀にも観察可能である。イングランド社会が公衆や公共的コミュニケーション・ネットワークを持ち始めた近代初期に演劇の果たした役割は大きく、例えばそこに演劇の観衆のメンタリティの関与を探ることで、18世紀以降~現代にまでつながる公共性の検証にも貢献をなしうると考えられ、ここに本研究の重要性がある。 具体的に当資金を利用して行った研究の成果として挙げられるのは、2011年8月、12月、2012年3月の学会における口頭発表3点、および、2011年8月および2012年3月の学会紀要に掲載された論文2点である。また、こうした発表活動以外に資料調査(2011年9月と2012年3月)も行った。ここで入手した史料・文献を上記研究にも活用しており、2012年度も引き続き活用していく。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

1: Research has progressed more than it was originally planned.

Reason

近代初期イングランドの演劇が一種の「リバティーズ」として治外法権的特権の場となり、パブリック圏出現の条件を備えていたという点について、現時点である程度議論できており、命題として掲げていた点については明らかにできている。その議論のための資料、および、次年度以降に引き続き検証作業を進めるための資料も、これまでにある程度集められている。また、成果を量的に見ても、学会での口頭発表3回、学会誌への掲載2本となっており、特に学会発表の回数は当初の目標を上回っている。

Strategy for Future Research Activity

次年度も引き続き当該研究テーマにかかわる検証作業を続けていく。エリザベス朝、ジェイムズ朝の演劇におけるパブリック圏創出の状況、過程、条件などを検証するが、その際、民衆の集団行動に目を向ける。そのためには、演劇以外の形態の集団行動において、コミュニティというくくりから個人と社会の関係性を見て比較する必要があり、本研究ではその顕著な例として集団儀礼のシャリヴァリに注目する。シャリヴァリについては巡回裁判などの記録文書からの情報が必須であるため、既に集めた資料や、今後収集する資料も合わせて分析し、演劇表象の中の様々な表現を考察するための論拠としたい。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

当該年度に未使用で「次年度使用額」として請求するものは、本来の次年度請求分の項目の中でも不足の発生が見込まれる項目に上乗せしたい。不足発生が見込まれるとすれば、それは学会の大会発表に応募して、受理される回数が予測以上に多くなった場合、その予定外の大会発表の旅費である。あるいは、追加の資料が必要となった場合、資料収集の旅費も、不足が発生する可能性がある。 上記のような場合以外は、使用計画は概ね当初の予定通りであり、国内学会発表のための旅費、学会誌の論文掲載料、英語論文の校正者への謝礼、資料の現像料・コピー料、文献書籍購入代金、論文印刷のインク代金などに研究費を使用する。

  • Research Products

    (2 results)

All 2012 2011

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (1 results)

  • [Journal Article] 石の饗応:復讐劇としてのTimon of AthensとThe Witches of Lancashire2011

    • Author(s)
      中村友紀
    • Journal Title

      比較文化研究

      Volume: 97 Pages: 101,114

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] Theatricality of Retribution: Masques in Revenge Plays2012

    • Author(s)
      Yuki Nakamura
    • Organizer
      The Renaissance Sciety of America 2012 Annual Meeting
    • Place of Presentation
      Grand Hyatt, Washington, DC
    • Year and Date
      2012年3月24日

URL: 

Published: 2013-07-10  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi