2011 Fiscal Year Research-status Report
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23520340
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
勝山 貴之 同志社大学, 文学部, 教授 (30204449)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2016-03-31
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Keywords | シェイクスピア / イスラム / インド / 地中海 / 他者 / アイデンティティ |
Research Abstract |
この研究は、地中海貿易をとおしてイングランド人がいかなる異教徒と遭遇し、そうした他者との遭遇によって、いかにしてプロテスタント・イングランド人としての自己を確立しえたかという問題を、シェイクスピアの劇作品の分析から解明しようとするものである。 平成23年度は、資料収集を中心に研究準備を進め、まずインターライブラリー・サービスを中心に、国内の大学図書館における文献収集をおこなった。更に、8月下旬から9月上旬にかけて2週間の間、ロンドン大学を訪れ、資料収集作業にあたった。ロンドン大学のセネター図書館およびSOAS付属図書館は、これらに関する図書資料が豊富で、特にSOASは当時のイングランドとインドの交流を分析した文献を多く所蔵しており、資料収集には最適と思われた。シェイクスピアの『オセロ』や『真夏の夜の夢』に描かれた異文化表象を、イングランド人がどのような感覚で捉えていたかを研究するうえで、イスラム圏やインドで書かれた研究書も収集しておきたいと考えている。 9月以降は、持ち帰った資料の整理や分析にあたった。現在、資料の分析が終わり、『真夏の夜の夢』に関する論文を執筆中である。これは学会での発表を経て、研究誌に投稿する予定をしている。 同時に、当時の観客の実態を探るために、17世紀の民衆の教養レベルについて調査研究した内容を、「(研究ノート)17世紀初頭のイングランドにおける啓蒙書と民衆の政治参加―ウィリアム・ウィリマット、バーナビー・バーンズ、そしてシェイクスピア」と題して、『主流』第73号に投稿した。また当時の上演や劇団の状況も研究しておく必要から少年劇団の研究を進め、成果をまとめたものを「エリザベス崇拝と劇作家ジョン・リリー―少年劇団の再結成とリリーのリバイバル」と題する論文として『同志社大学英語英文学研究』第89号に投稿し、掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的にそった、国内大学図書館の資料収集、ならびに英国の大学図書館での資料収集は順調に進み、期待していた成果をあげることができたと思う。今回の科研費でおこなう研究の初期段階の資料収集としては、ある程度満足のいくものである。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度に収集した資料の整理と分析が終わったので、現在、集めた資料に基づき『真夏の夜の夢』に関する論文を執筆中である。論文の内容が固まった段階で、日本シェイクスピア学会、もしくは関西シェイクスピア研究会で発表をし、その方面の研究者から意見を求めたい。その後、発表内容に加筆・修正などを加え、学会誌等に投稿する予定である。科研で与えられた期間内に、予定している他の作品についても、順次、資料収集、学会発表、学会誌等への発表をおこなっていきたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度の研究費の使用については、資料購入および収集費、学会での研究発表のための旅費などを計画している。
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Research Products
(2 results)