2011 Fiscal Year Research-status Report
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23520341
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2016-03-31
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Keywords | フロスト / アメリカ詩人 / 書簡 / モダニズム / 詩 |
Research Abstract |
現在、20世紀の英文学の主要人物であるアメリカ詩人ロバート・フロストの書簡集(全3巻新刊)をエディノボロ州立大学のドナルド・シーヒー教授とともに編集にあたっている。この版は、次のような点で重要である。まず第一に、現在までフロストの書簡は一貫性のない収集をされており、包括的な収集はおこなわれてこなかった。また、フロストの書簡集のすべての版が絶版となって久しい。我々が計画している新版は、かつて一度も出版されたことのない何百もの書簡を含んでいる。第二に、フロストはモダニズム文学の主要人物であり、今回の新版3巻本はいかにして詩がモダニズムとなったかという私たちの理解を書き換えることになるであろうと思われる。このことは特に、フロストがロンドンに到着し最初の本を出版しようと準備をはじめた1912年から、1922年にT.S.エリオットが『荒地』を出版し、1923年にフロストが彼の第四巻『ニュー・ハンプシャー』(フロストの最初のピューリッツァー賞作品)となるはずの詩作品をまとめ始めた時代にあてはまる。第三に、この新版は詩人に関する最も新しい伝記研究の基礎をなすものである。フロストの伝記は40年ほど前に書かれたものだけであるので、今回の新版書簡集への期待は大きい。この書簡集はハーヴァード大学出版局との契約が成立しており、私の執筆したThe Collected Prose of Robert Frost(Harvard 2007)をはじめ他の出版物をも含む、より大きなフロスト・プロジェクトの一部を成すものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2011年度は、共編者とともに書簡の筆写を終え、3巻本の第1巻に所収する予定のすべての手紙の校正を終えた。またすべての書簡に注を付し、すべてを統一性のある書式にまとめた。これらは1920年に至る書簡である。(第1巻は1886年から1923年にかけての書簡を所収する予定)共編者の仕事との統一性をはかるため、アメリカ合衆国へ2度の出張をした。1度は2011年10月で(ヴァージニア大学で開催されたフロスト研究者によるシンポジウムに参加するためで)あった。2度目の出張は2012年1月にワシントン州シアトルで開催されたモダン・ラングエージ・アソシエーションの年次大会に出席することを目的としていた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は第1巻本に収める書簡の清書を終える予定である(1923年の終わりまでに書かれた書簡を網羅することとなる。)今年の夏終わりまたは初秋にこれらの原稿をハーヴァード大学出版局に提出する予定である。また1924-1942年までを網羅した第2巻についても作業を開始する予定である。その時期に書かれたと思われる書簡を、筆写し、校正し、注を付し、更に共編者とともに入手できる限りのすべての書簡の原稿を集め続けるつもりをしている。(フロストの死にいたる1963年までの書簡をほぼ収集してきたが、研究者には知られていなかった手紙が個人の手からあるいは世間にはあまり知られていない貴重書保管庫から発見されることがある。)
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
2012年度の科研費は、アメリカ合衆国への少なくとも2度の出張旅費を賄うつもりである。これは書簡集編纂プロジェクトを更に進め、共編者と私の分担を統合し、ハーヴァード大学出版局と打ち合わせのためである。特に2012年9月にはニュー・ハンプシャー州フランコニアへ出張し、詩人の孫娘レスリー・リー・フランシスの主催するフロスト研究者の年次シンポジウムに参加する予定である。また2013年1月にはマサチューセッツ州ボストンで開催されるモダン・ラングエージ・アソシエーションの年次大会に出席することを計画している。編集作業を進めるうえで適宜必要となるオフィス用品の購入にも科研を役立てるつもりである。
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