2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23520341
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
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Keywords | 文学 / 一次的研究 / 米国詩 |
Research Abstract |
2012年1月には、ワシントン州・シアトルで行われた、米国現代語学文学協会の年次学会に出席した。これは、ハーバード大学出版社の編集長と、私が今手がけているロバート・フロストの書簡集の出版に関しての協議をするためである。同時に、共同編者であるドナルド・シーヒー教授とも面会し、2012年から2013年の早い段階に着手すべき作業のアウトラインを立てた。それに応じて、書簡集第一巻に出版を予定した書簡の全ての転写を、2012年の間に完了した。また、正確さを確実にするため全ての転写の校正を終え、詳細な注釈を加える工程も完了した。8月には、フロストの作品原稿アーカイブを用いて作業を進めるため、ワシントンD.C.にあるアメリカ議会図書館に出張した。9月にはマサチューセッツ州・ケンブリッジにて、ハーバード大学の関係者と第一巻の制作予定の日取りについて協議した。また、フロストの孫娘によってニューハンプシャー州・フランコニアで毎年開催されている、ロバート・フロスト・コロキアムにも9月7日から10日の日程で出席した。京都に戻った後の半期では、第一巻の草稿のワード入力を完了させた。その後、原稿を2013年1月にボストンで開かれた米国現代語学文学協会の年次学会へと持参し、ハーバード大学出版社と共同編者であるシーヒー教授との打ち合わせを重ねた。2013年3月初旬に、第一巻のワード入力原稿をハーバードに提出するに至った。これをもって現段階で、第一巻は出版社の印刷工程にある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2006年からフロストの書簡集研究に着手してきた。(この研究への足がかりとなった初期の研究は2003年~2003年に遡る。)2006年から2010年にかけて、私と共同編者とで、アーカイブに保管されているフロストの書簡の複写と、デジタルスキャンの収集にあたった。この作業は、ニューイングランド(ダートマス大学、ボストン大学、アマースト大学等)、ワシントンD.C.(アメリカ議会図書館)のアーカイブ、そしてカリフォルニア、フロリダ、イギリスにまで分散している、規模の小さいアーカイブの数々をあたる必要があった。その後、それらの書簡のデータベースを作成し、転写と注釈の作業に着手した。2012年には第一巻の草稿のワード入力に着手しうる段階に到達することができた。(第一巻は1886年から1921年9月までの書簡を扱うものとなる。)またこの研究と同時に、フロストに関する別の一次的研究も行った。2007年には、この研究の成果としてハーバード大学出版から、私が編集したフロストの散文集が出版された。
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Strategy for Future Research Activity |
現段階でハーバードにて印刷の工程にあるフロスト書簡集の第一巻を完成させた後は、残りの二巻を共同編者(ドナルド・シーヒー教授)と私とで仕上げる予定である。第一巻は、既に言及したように、1886年から1921年秋までに書かれた書簡を扱う。第二巻は、2015年には出版準備が整う予定で、1921年秋から1942年春までの書簡を扱うつもりだ。第三巻は2016年の出版を目処にしており、1942年春からフロストが死去した1963年1月までの書簡を扱う。これまでの報告書でも触れたが、この三巻にわたるフロスト書簡集は、先に例を見ない試みの版だということを強調したい。前例の無いこの版は、三巻全てを合わせると、(これまで出版されてこなかったものが大部分を占める)2200ページあまり分の書簡を、注釈、フロストが手紙を当てた人物の伝記的解説、そして密に詳細なフロストの人生年表と共に出版することとなる。この出版の目指すところは、今後何十年後のフロスト研究者に仕えうる、決定版を制作することにある。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
フロスト書簡集の第一巻は、現段階で印刷工程に入った。6月には共同編者と私は、ハーバード大学出版から編集原稿を受け取ることになっている。それを受けて、3週間で見直しと必要があれば修正をすることとなる。修正原稿を6月後半にハーバードへと返却すると、次はページ校正刷りの工程へと入る。8月初旬にはその原稿がこちらに戻るものと思われる。そうすれば、共同編者と共に、最終校正に取りかかり、索引の準備にかかる予定だ。この索引は詳細なものを想定している。つまり単に人物名や詩の題名等だけではなく、詩論に関するもの等も含む予定だ。この最終校正と索引づくりの作業を可能な限り効率的に進めるべく、8月にはアメリカに渡り、共同編者であるシーリー教授が勤務するエディンボロ大学で、10日間余り作業を共にする予定だ。8月の渡米の際には、同時にボストンへ行き、ハーバード大学出版の職員と今後の工程に関しての打ち合わせを予定している。書籍はその後印刷、装丁を経て、2013年12月もしくは2014年1月に出版を見込んでいる。
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