2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23520341
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2016-03-31
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Keywords | American Poetry |
Outline of Annual Research Achievements |
研究概要
過去9年間にわたって、20世紀英米文学の主要人物とされるアメリカ詩人ロバート・フロストの『書簡集』5巻本の編纂を手がけてきた。(このプロジェクトはハーヴァードUPとの契約のもとに行なわれている。) プロジェクトは、この種のものとしては初の企画で、3,100通以上の書簡を印刷物の形で提供しようとするものであり(収録された書簡のうち、おおよそ40%は今までに出版されてこなかったものが含まれている) 、書簡のなかに表れた詩人の人生の豊かな記録を、読者に提供するものとなるはずである。詩人の書簡は、彼の作品と詩論について、あるいはモダニズム文学について、更に詩人の複雑な家庭生活について詳らかにしてくれるものであることから、今回の書簡集プロジェクトは、フロスト研究者はもちろんのこと、現代詩の研究者や20世紀アメリカ文学研究者にとっても、重要なものとなると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度は、昨年度に引き続き『フロスト書簡集』の編纂を続け、新たな編纂メンバーと共に第二巻の編纂作業に行なった。メンバーは、Donald Sheehy教授、Robert Hass教授、 Henry Atmore教授である。『フロスト書簡集:第一巻:1886-1920 (The Letters of Robert Frost, Volume I)』は、好意的な書評によって迎えられている。書評掲載誌は次の各紙である。 The London Review of Books、 The Times Literary Supplement (TLSでは2014年度の注目すべき書物として取り挙げられた)、The Georgia Review などである。また編者を務めたRobert Frost in Context(Cambridge UP)が平成26年4月に出版された。この書物の序論と他の三章の執筆を担当した(うち1章はJoseph M. Thomas教授と共著である。) 平成26年5月には、ワシントンDCで開催されたアメリカ文学会の年次大会(5月22日-25日)において、“The Natural History of Frost’s Poetics”と題する研究発表を行なった。ワシントン滞在中に、アメリカ文学古文書課(スミソニアン博物館の一部)を訪れ、保管されているフロスト関連の記録文書の調査をした。平成26年8月23日にはペンシルバニア州エディンボロへ出張。『フロスト書簡集』プロジェクトの第二巻の共編者であるDonald Sheehy およびRobert Hassと共に1週間に及ぶ編纂作業を行なった。9月22日から29日にかけては、ニュー・ハンプシャー州ハノーヴァーにてダートマス大学のフロスト古文書館で作業をし、詩人の孫娘Lesley Francisによって組織されているフロスト・シンポジウム年次大会に出席。また11月初旬には、ノバ・スコティア州ハリファックスのダルハウジー大学へと出張し、“The Varieties of Frost’s Religious Experience” と題する講演を行った(11月7日)。平成27年2月22日には、再びハノーヴァーへ出張し、ダートマス大学のフロスト古文書館で1週間にわたり研究調査を行なった。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の計画
ボストンで開催されるアメリカ文学会年次大会に出席予定(5月20-26日)。アメリカ小説家Nicholson Bakerについての研究発表を行なうことになっている。またこの時に、ハーヴァード大学出版局の担当者と打ち合わせも予定している。その他、ボストン周辺の図書館でフロストの原稿を調査も行ないたい。8月には再び米国を訪れ、フロスト書簡集の第二巻の完成を目指したい。編者たちとともに、夏の終わりにはハーヴァード大学出版局に原稿を提出したいと考えている(出版は平成28年予定)。 9月には、ニューハンプシャー州デリーで開かれる予定のロバートフロストシンポジアの年次大会に参加を計画している。 今年度の間に、『フロスト書簡集』第二巻を仕上げるとともに、関連したプロジェクトも手がけたい。まず編者をすることとなっているThe Cambridge Companion to American Poetryの原稿編集作業がある(平成28年にCambridge UPより出版予定。) この書物の編集は現在進行中で、5月または6月に全31章から成る全章の校正をする予定である。7月にはインデックスの作成もしなくてはならないと考えている。書物の序章およびフロストに関する章については、私自身が担当・執筆をした。また昨年11月に行なったフロストと宗教に関する講演(於:Dalhousie University、Halifax)の出版原稿も完成させたい。この書物はDavid Evans教授によって、一冊にまとめられ、Understanding William James, Understanding Modernismと題されて、 平成28年に刊行予定である(担当する箇所の原稿締め切りは今年9月)。
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