2012 Fiscal Year Research-status Report
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23520348
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Research Institution | Kobe College |
Principal Investigator |
鵜野 ひろ子 神戸女学院大学, 文学部, 教授 (30145718)
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Keywords | アメリカ合衆国 / アマスト / ボストン / 日米文化交流 / エミリ・ディキンスン / 19世紀 / アメリカ文学 / 影響関係 |
Research Abstract |
8月2日から5日まで米国クリーヴランドにおいて開催されたエミリ・ディキンスン国際学会理事会及び年次大会に出席し、発表者の紹介役も務めた。その後、アマストで、アマスト大学図書館においてウィリアム・クラークについての資料及び1858年より1865年までの当地方新聞における日本についての記事を閲覧・収集した。11日、ボストン近郊セイラムの博物館において19世紀に集められた東洋美術品などを見学し、12日帰国の途についた。 10月9日から15日まで、神戸女学院大学研究所の補助金を得て、米国デンバーで開催されたアメリカ女性作家学会の理事会及び大会に出席し、『アメリカ女性作家研究のグローバル化』というパネルで発表した。この依頼を機に「日本におけるディキンスン研究」について考察し、米国以外では日本が最もディキンスン研究の盛んな国であること、さらにその理由の一つとして、ディキンスンの美学に日本の水墨画のそれと共通点があること等を指摘した。彼女が14歳の時に中国の水墨画を見た経験があることは既に証明したが、日本の水墨画も見たかどうかは、これからの調査で明らかにしたい。 12月22日、日本英文学会関西支部大会において依頼されて、「エミリ・ディキンスンと日本」という題目で発表した。植物学に詳しかったディキンスンの製作した植物標本の中に2種類の日本特有の花があるので、19世紀半ば彼女がどのような経路でそれを手に入れたかについて、様々な可能性を探った。本発表では特にその内の1種の日本産スイカズラの花の入手経路について考察した。日本の花は開国直後、米国でブームであったので、その彼女への影響についても研究中である。 秋の健康診断で病気が判明したので、冬休み中入院し、現在通院している。強い副作用のため、3月半ばから治療終了予定の6月末まで休業することとなり、3月に予定していた米国での資料収集を断念した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2012年春には、老母の病気のため、春休み中に予定していた米国での資料収集を断念した。また秋には、私自身も病気であることがわかり、冬休み中に17日間入院して治療を開始し、現在は通院で治療を続けている。しかし強い副作用がいつまでも続くので、医師の判断で、3月中旬から治療終了予定の6月末まで神戸女学院大学を休むこととなった。 そのため、3月に予定していた米国での資料収集を2013年度に延期した。このように資料収集が1860年代半ばで止まっている。 アメリカ女性作家学会で口頭発表した「日本におけるエミリ・ディキンスンの詩の研究」という論文はたまたま依頼されたものであるが、それについて調べる内に、ディキンスンの詩における日本的な美学を見出したので、当初、本研究には予定していなかったが、この点についてもさらに研究し、論文に書きたいと思っている。しかし体調不良のため、まだ執筆に至っていない。 ディキンスンと花についての論文を、2013年6月発行予定の『神戸女学院大学論集』に掲載する予定であるが、これは2012年12月に依頼され口頭発表したものの途中までを加筆修正したものであって、未完成である。 このように体調不良のため、研究が滞っている状態である。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、病気治療の副作用のため研究がはかどらないが、6月末で病気が完治して治療が終了したら、遅れている研究に全力で取り組みたいと思っている。 平成25年8月7日から11日まで、メリーランド州のカレッジ・パーク及びワシントンDCで開催予定の、3年に一度のエミリ・ディキンスン国際学会国際大会及び理事会に出席し、その後、国家古文書館、議会図書館、スミソニアン博物館およびアマストで資料収集を行う。 これまで1860年代前半までの資料が収集できているので、平成25年8月及び平成26年2月または3月の2回、米国で1860年代後半以降の資料を収集し、整理する。 平成25年6月に掲載予定のディキンスンと日本の花についての論文の続きを本年度中に書く予定である。また、平成24年10月にアメリカ女性作家学会で口頭発表した論文を発展させ、執筆する。 諸般の事情で研究が遅れているので、ディキンスンとウィリアム・クラークおよび新島襄との関係について集めた資料を整理し論文にまとめるのは、平成26年度以降になる見込みである。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
*旅費1: 平成25年8月7日より11日まで、米国メリーランド州のカレッジ・パークおよびワシントンDCで開催されるエミリ・ディキンスン国際学会の国際大会および理事会に出席する。その後、国家古文書館、議会図書館、及びアマスト大学図書館で資料収集。約55万円。 *旅費2: 平成25年春に予定していたブラウン大学等での資料収集を平成26年春に実施する。約45万円。 *旅費3: 時間が許せば、伊万里等で幕末に輸出されていた陶器について調査する。約6万円。 *図書・資料など、物品費: 約3万円。 平成25年3月(24年度)に、米国で資料収集の予定であったが、病気治療のため断念した。その未使用の旅費を平成25年度に回した。合計、約109万円使用の予定。
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Research Products
(3 results)