2013 Fiscal Year Research-status Report
世紀転換期における形而上的文化交流の形―岡倉天心とヴァージニア・ウルフの芸術観
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23520349
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Research Institution | Kobe Women's University |
Principal Investigator |
木下 由紀子 神戸女子大学, 文学部, 教授 (80214849)
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Keywords | 英語英米文学 / 美学 |
Research Abstract |
ソウル国立大学人文研究所 機関紙 Horizons: Seoul Journal of Humanities へ、これまでの研究を概観した論文を掲載。"A Study of Far Eastern Influences on Virginia Woolf: Kakuzo Okakura, Roger Fry, and Virginia Woolf." Horizons4-1 (June 2013):63-86. 2013年8月から9月にかけて、約2週間、2014年3月に約10日間、それぞれ、イギリスのThe British Libraryにて、Roger FryとVirginia Woolfにかかわる文献を収集した。その資料をもとに、現在論文を執筆中である。 現時点では、岡倉がFryに及ぼした影響、とくにFryの芸術論に見るJaponismeの影響についてほぼ確認をすることができた。また、二人の評論家の共通項が、Wildeに求められるという可能性を追求すべきことが分かった。しかし、岡倉が世紀末の唯美主義者から受けた影響を具体的に示し、両者の複雑な相関関係を示していく作業はまだ半ばである。 その一方で、WoolfとFryの影響関係を指摘することで、Woolfの芸術観の中にあるJaponismeを確認することができ、岡倉の芸術論との相関関係につなげられると見て、現在、この問題について論考を準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2013年度は勤務先の公務が重く、通常なら研究を進められる8月中旬から9月中旬、1月の冬期休暇中、2月下旬から3月にも公務に対応せざるを得ず、調査出張以外に研究日をほとんど確保することができない状態であり、研究時間の捻出に非常に苦慮した。論文も、事実の整理の段階は過ぎて、より精密な実証や論証を要する段階にあり、論文執筆に際してはこれまで以上の集中力を要する。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、2014年度も公務が重く、研究時間の確保が課題であるが、研究出張は2014年夏・2015年春の2回、期間は最低10日は確保したい。また、論文執筆は、資料収集を主とする出張期間にも並行して行い、現在着手している論文の完成に努める。学会発表、論文の投稿に向けて努力する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
予定した研究出張期間および研究日が十分確保できず、研究計画に遅れが生じたため。 研究に支障が生じないように、研究時間を捻出し、研究を進められるように努力を図る。夏季と春季に各々2週間の研究出張を行い、資料収集とともに論文執筆に努める。
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Research Products
(1 results)