中英語夢幻視物語とダンテ『神曲』の異界描写および写本図像を対象とする比較研究

2011 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 23520353
• Research Institution: Fukuoka Dental College
• Principal Investigator: 壬生 正博 福岡歯科大学, 歯学部, 教授 (30249784)
• Project Period (FY): 2011-04-28 – 2016-03-31
• Keywords: 異界 / 夢 / 幻視 / ダンテ / 黙示文書

Research Abstract

平成２３年７月３０日から８月１１日にかけてロンドンを拠点として、本研究課題のテーマである中世夢幻視物語とダンテ「神曲」の写本および図像を中心に調査を行った。概要は、１)British Library（ロンドン）ではYates Thompson 36, Egerton 943, Harley 3513等を、2)Bodleian Library（オックスフォード）では、Hokham misc.48等の写本調査を行った。そして、3)National Gallery（ロンドン）のSainsbury Wingでは、異界的な構図をもつ中世の視覚芸術を調査した。その他、両図書館で既に絶版になっている重要図書を検索し、出来る限り閲覧して当該研究に必要な箇所の調査、およびコピーによる資料収集を行った。　また、国内では国会図書館等に赴き調査研究を行った。研究書も数点入手して研究を遂行している。中世の異界作品としてはSt. Patrick's Purgatory、The Revelation of the Monk of Eynsham、The Vision of Tundale等を取り上げてパラダイス描写の比較検討を行っている。また、ダンテの『神曲』（主に現代英語訳）を通読し研究資料を収集中である。黙示文書に関しては、代表的文書である第一エノク書に焦点を当てて当該研究に益する記述を考察している。

Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

研究がおおむね順調に進んでいる理由は以下の諸事項による－・イギリスに赴き、中世の写本を直接閲覧して当該研究に益する資料を収集できたこと。また、絶版となった書籍を閲覧でき、貴重な資料を入手できたこと。・主要な作品を読み、基礎資料を整理できたこと。・研究書を入手し、研究の進展を図ることができたこと。・研究遂行のために最新のコンピュータを入手することによって作業効率が上がったこと、等である。

Strategy for Future Research Activity

本年度に入手した沢山の資料をこれから先の研究に役立て、中世イギリスの夢幻視文学のパラダイス描写の伝統性や新奇性を探究する。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

次年度は、更に研究資料を入手し、研究を進展させる。特に、ダンテの『神曲』における写本図像を海外図書館よりできる限り多く入手し、図像と記述との比較検討も行う予定である。また、研究成果は、学会や研究会等で発表するつもりである。