2014 Fiscal Year Research-status Report
中英語夢幻視物語とダンテ『神曲』の異界描写および写本図像を対象とする比較研究
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23520353
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Research Institution | Fukuoka Dental College |
Principal Investigator |
壬生 正博 福岡歯科大学, 歯学部, 教授 (30249784)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2016-03-31
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Keywords | 中世イギリス文学 / 異界 / 幻視 / 夢 / ダンテ / 黙示文学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、中世イギリスにおける夢幻視文学のパラダイス描写と、その描写の起源となった古代の黙示文書、並びにDanteのDivine Comedyとの比較研究である。 夢幻視文学の作品については、特にDivine Comedyの異界描写との類似性が強いと思われるThe Vision of Tundaleとの比較検討を集中的に進めている。更にThe Vision of Tundaleの写本間の相違についても研究を行っているが、中英語テキストとラテン語テキストの間では、神の玉座がある至高天の「三位一体」の言及に相違があることがわかった。この三位一体についてはDanteのDivine Comedyにも見られ、この作品と中英語テキストおよびラテン語テキストとの比較検討、更に黙示文書との関連性も研究している。 研究成果の中間発表として、平成27年6月に開催される中世英語英文学会の第31回西支部例会において口頭発表を行う予定である。既に発表要旨が受理され、学会プログラムに記載されている。本発表では主にThe Vision of Tundaleの至高天に焦点をあてて、その文学的解釈の可能性を探る予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究がおおむね順調に進んでいる理由は以下の諸事項による- ・国立国会図書館や大学図書館等に赴き、多くの貴重な研究書を閲覧して当該研究に益する資料を収集できたこと、また、絶版となった貴重な書籍を閲覧し、資料を入手することができたこと。・本研究課題に関連する主な研究書を入手し、研究の進展を図ることができたこと。・DanteのDivine Comedyや古代の黙示文書から主要な作品を読み、基礎資料を整理できたこと。・上記「9.研究実績の概要」で述べたように平成27年6月に日本中世英語英文学会第31回西支部例会において口頭発表が受理されたこと、等である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に入手した沢山の文献資料を次年度の研究に役立て、また、「三位一体」を念頭に置いて、The Vision of Tundale とDivine Comedy、あるいは黙示文書との比較研究を行い、中世イギリスの夢幻視文学のパラダイス描写における意識の伝統性や新奇性を探究する。また、5年間の研究成果をまとめて学会や研究会等で発表するつもりである。
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Causes of Carryover |
本年度の当該課題研究により、諸作品のパラダイス描写に於いて「三位一体」というキリスト教の概念が重要なキーワードであることがわかった。そのため、国会図書館や大学図書館へ研究出張した折に百科事典や研究書から出来る限り多くの研究資料を複写する予算を確保しておく必要があるため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は国会図書館や大学図書館が所蔵するキリスト教百科事典や哲学事典等から「三位一体」やこれに付随する重要事項の文献複写を行う計画である。
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Research Products
(1 results)