2014 Fiscal Year Annual Research Report
中世ドイツ文学の発信型研究の試み―日本文化を出発点として
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23520358
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
寺田 龍男 北海道大学, メディア・コミュニケーション研究院, 教授 (30197800)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | ニーベルンゲンの歌 / 学校教育 / ディートリヒ叙事詩 / 国際情報交流 ドイツ |
Outline of Annual Research Achievements |
助成の最終年度である平成26年度は、前年度末に行ったドイツへの出張におけるミュンヘン大学・バイエルン州立図書館の研究者との打ち合わせから得られたアイディアをもとにして、さまざまな考察と修正を行い、また最新の研究状況に関する批判的検討と先行研究の見直しをすすめた。そしてドイツ語圏における『ニーベルンゲンの歌』と学校教育、およびこの作品に関する研究成果を批判的に検討する論文一篇を公表した。具体的には、①第二次大戦後のドイツ語圏における学校教育では戦前の反省から『ニーベルンゲンの歌』に強い負のイメージが刻印されるようになった、②高等教育へのバチェラー・マスター課程の導入により試験が急増したことから、一般学生はいわば細切れの知識の獲得しようとする傾向が強まった、そしてそれに対応する「入門書」の出版ブームが起きている(『ニーベルンゲンの歌』に限らない)、③しかし研究においてはかつてないほど『ニーベルンゲンの歌』への取り組みが盛んになっており、大きな飛躍が期待できる他、メディアの発達により日本人研究者にも貢献の可能性が広がったこと、以上を報告した。 また平成遠友夜学校からの2回の招きにより、同じく助成研究を遂行する過程で得られたいくつかの知見を発表する機会を与えられた。学会ではなく一般市民を対象とする口頭発表であったが、そこでの質疑により今後の研究に大きな意味を持つ刺激が得られた。さらに今年度の助成による出張でも、ブレーメン大・ミュンヘン大・バイエルン州立図書館の研究者と有意義な議論を行うことができた。その成果は今後順次公表する予定である。 なお今年度は前年度までに実施と完了に至らなかった計画の遂行にも充てる予定であった。しかし鋭意研究を進めたものの、まことに遺憾ながら成果を発表することはできなかった。今後できるだけ早く発表する所存である。
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Research Products
(1 results)