2013 Fiscal Year Annual Research Report
『パンセ』と『キリスト教護教論』―パスカルの著作の意味と価値
Project/Area Number |
23520366
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
塩川 徹也 東京大学, 大学院人文社会系研究科, 名誉教授 (00109050)
|
Keywords | パスカル / 『パンセ』 / キリスト教護教論 / 人間学 / 編纂史 / 受容史 / 国際研究者交流(フランス) |
Research Abstract |
・2013年7月22日から8月1日にかけてパリに赴き、国立図書館、マザリーヌ図書館で資料調査を行い、『パンセ』の断章の発想源について、いくつかの新知見を得た。またパスカル研究者(ジャン・メナール教授、フィリップ・セリエ教授、ジェラール・フェレロル教授)と面会して、課題について意見を交換し、専門知識の提供を受けた。とりわけメナール教授からは、『パンセ』の原稿ファイルの配列、『キリスト教の弁明』という題名の出現の年代等の問題についてきわめて重要な示唆を得た。 ・2014年3月4日から10日にかけてパリに赴き、ラファイエット夫人の『クレーヴの奥方』に関する国際研究集会、および近代フランス宗教史・外交史の偉大な研究者であったブリュノ・ヌヴーの没後10年記念研究集会に参加し、研究交流を行った。またジャン・メナール教授と再度面会して、教授が準備中の『パンセ』の新版の進捗状況について貴重な情報を得た。またジェラール・フェレロル教授、そして若手のパスカル研究者ロラン・スュジーニ准教授とも課題について意見を交換した。 ・信州大学で開催された日本学士院の公開講座で、「パスカルの賭け――意思決定における理性と信」と題する講演を行い、パスカルの思想の意味と価値について啓発的な解説を行った(2013年5月25日)。 ・研究期間全体を通じて、『パンセ』の翻訳をセリエ版に依拠して進め、すべての断章を訳出した。しかし研究の進行につれて、セリエ版の不備を意識するに至り、パスカルの没後すぐに作成された「第一写本」を底本として、「自筆原稿集」と「第二写本」も参照しながら、翻訳を改訂することにした。作業は、全体の三分一程度まで進んでいる。
|
Research Products
(3 results)