2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23520369
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松浦 純 東京大学, 人文社会系研究科, 教授 (70107522)
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Keywords | 国際研究者交流 |
Research Abstract |
前年度に引き続き、ルター初期テクストの分析およびドイツ各地における資料調査を中心に研究を進めた。また、数年おきに開催される国際ルター学会がヘルシンキ(フィンランド)においてちょうど本年度8月に開催されたため参加し、分科会で口頭発表を行うとともに各国の研究者との意見交換を行った。口頭発表の内容は、刊行が予定されている論文集のために帰国後大幅に加筆し、2013年4月末に脱稿して編纂者に送付したところである。また、ヴィッテンベルクにおける資料調査の成果の一部として、ルターのメランヒトンへの未刊の注記の解読を終え、小部ながらエディション稿の形にまとめた。これは、2014年度のルター年鑑(Luther-Jahrbuch)への掲載が予定されている。また、本研究の中心的対象である第一回詩篇講義草稿については、一連のルター文書がユネスコ世界記憶遺産に登録申請されるに際して、その根拠づけのため刊行される論文集において、草稿の状態および伝承史の分析・叙述を担当し、2012年12月に編集部に送付した(現在印刷中)。なお、第一回詩篇講義草稿は、校訂詩篇テクスト刊行およびそれへの行間注・欄外注(ヴォルフェンビュッテル・アウグスト公図書館蔵)と講解草稿冊子(ドレスデン州立兼大学図書館蔵)に分かれた形て伝承されており、ユネスコへの登録申請に関して当初は前者のみが対象とされていたが、筆者が強く主張した結果、両者ともに申請されることになったと聞いている。筆者の叙述は両者それぞれの伝承についての16世紀以来の原資料に基づいたものである。草稿の古文書学的分析に関しては、ヴォルフェンビュッテル、ドレスデン両図書館で分析を進め、その際、ドレスデン工科大学の紙の研究者の協力も得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究実績については上記のとおりである。成果を度数として表すことは研究内容にそぐわないが、資料調査・分析については順調であり、また期間中の刊行物については、全体のテーマをまとめたものではないものの、予定を超える成果であると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
予定通り、資料調査と資料分析、テクスト解釈、中世テクスト、研究文献の参照によって進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
予定通り、海外調査費を大部分とし、残りを文献購入に充てる。
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