2011 Fiscal Year Research-status Report
「16世紀絵入り年代記集成」の文献学・図像学的研究
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23520374
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
中澤 敦夫 富山大学, 人文学部, 教授 (90242388)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 中世ロシア / 年代記 / 図像学 / 文献学 |
Research Abstract |
平成23年度には当初の予定通り、「16世紀絵入り年代記集成」のテキスト版刊本とファクシミリ版刊本のすべてを購入し、それをもとに研究の基礎となるデータの構築を行った。すなわち、テキストのスキャニング、OCR による読みとり、読みとりデータ校正の作業を行い、「年代記集成」のすべてのテキストの電子データを作成した。これと並行して、挿画のスキャニングを行い、全ての(12020枚)画像を参照と利用のしやすい、電子データ化を行った。文献学的研究のための、他の諸年代記のテキストについては、「階梯書」の電子データ化を一部行った。 図像学的研究については、平成23年7月に方法論に関する研究発表を「日本ロシア文学会中部支部の研究発表会」で行い、実際の図像分析については、12月にロシアのペテルブルグで行われた国際学会「第4回リハチョフ記念学会」で発表を行った。さらに、国際学会では、聖人伝の図像学的な研究を行っているロシアの研究者たちと意見を交換することができた。その結果、研究の方向性について一定の進展を見ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究のための準備段階である「年代記集成」のデータ化をすべて行ったことは予定通りとはいえ、大きな進展である。これによって、膨大なテキストと画像を効率的に利用することが可能となった。また、図像学的研究では、2回の研究発表によって、方法論について学ぶ機会を得て、今後の研究のための方向性を明らかにすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、現在進行中の、「年代記集成」の文献学的な研究を推し進めるために、周辺の諸年代のテキストのデータ化を完成させると同時に、現在まで積み重ねられた16世紀の諸年代記の文献学的研究について、より深く検討をして行きたい。 図像学的な研究については、明らかになった方法論を用いて、より具体的なテーマ(例えば「挿画における君主の形象とアトリビュートについて」)について検討を行いたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度には、16世紀諸年代記の文献学的研究のための研究文献を購入する。 また、諸年代記のデータ化のための、パソコン、関連ソフトなどの諸機器の購入を予定している。 さらに、年代記の図像学的研究のために、夏から秋にかけて、研究の進んでいるポーランドへ文献収集および研究者との意見交換のための調査旅行を予定している。
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