2012 Fiscal Year Research-status Report
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23520378
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
ディソン アニエス 大阪大学, 文学研究科, 外国人教師 (90543489)
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Keywords | 超現代詩 / アンヌ・ポルチュガル / ジャック・ルーボー / 関口涼子 / オスカー・パスティオール |
Research Abstract |
2012年度は、私の「<超現代>フランス詩研究」にとってきわめて有意義な一年であった。科研費のおかげで、フランスの詩人アンヌ・ポルチュガルを日本に招聘することができた。2012年11月の彼女の滞在は大変充実したものであった。多くの一般聴講者のほか、日本の数々の詩人、翻訳家、大学教員と意見を交わし、大阪大学では、「詩、イメージ、写真」と題して、<超現代>という芸術と文学のジャンルを超えた統合に関する非常に独創的な講演を行った。私は彼女に長時間のインタビューを行い、その成果を複数の学術論文にまとめることができた(2013年度中に、Cahier Critique de Poesie に掲載刊行予定)。これに先立ち、私は米国において、フランス女流詩人文学におけるアンヌ・ポルチュガルの位置づけに関するセミナーを主催した(San Francisco University, USA, Seminaire "Figures de femmes dans la litterature francaise", 2012年4月)。 私はまた、ロサンジェルスにおける国際シンポジウムに参加し、今日の多くの詩人に認められる諸芸術ジャンルの融合という現象と、その現象のもたらす統辞的・語彙的な特徴について指摘した(Bulletin de la Societe Japonaise de Linguistique Francaise, Tokyo, 2012年6月)。さらに私は、日仏両国において、ほかの現代詩人(ジャック・ルーボー、関口涼子)に関する論考を公刊した。加えて、2012年8~9月にフランス国立図書館にて調査研究を行ったほか、同年8月にベルリンのフンボルト大学にて、最近逝去した重要なドイツ詩人オスカー・パスティオールに関する文書を閲覧した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
私の研究計画は、詩における<超現代>という概念の基準を確定すること、ならびに、1980-90年代にフランスにおいてそれらが勃興してきた歴史的・文化的背景を探究することにあった。したがって私は、1)この新しい詩の潮流が、伝統に対してとる逆説的な関係、2)<超現代>詩人が、その創作に際する材料として、多言語および学術諸分野(神経科学、細胞生物学、写真、造形芸術)へと向ける関心に着目した。 次いで私は、3)芸術諸ジャンルと創作素材の融合、それにともなう「散文/詩」という伝統的二分法の解体、ならびに、4)言語技法上の革新(言葉遊び、統辞論的規則からの逸脱、新たな語彙の創造)という主題に関心を向けた。 フランスをはじめとする外国での複数の図書館における調査(文芸誌、理論的著作)および、シンポジウムやインタビューを通じた詩人や研究者との交流によって、私の研究をさらに発展することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究の土台を確立し、<超現代>詩における古典的伝統からの継承という中心的な問題について解明することができた(ルーボーと日本の古代詩との関係、アンヌ・ポルチュガルとルネサンス絵画との関係、シュザンヌ・ドッベルトとソクラテス以前の哲学者との関係など)ので、今後は以下の問題に取り組みたい。 1)現代詩の鍵概念で、時代を特徴づける概念としての「速度」vitesseの問題。 2)非人称impersonnelの問題(古典的な詩におけるのとは対照的に、現代詩において「私」jeは使用されない)。 3)現代詩と科学(生物学、物理学、数学、情報理論)との関係。これにより、現代詩と時代の要請との関連を考察する(18・19世紀の古典的な科学詩が、産業革命後の時代精神に呼応していたことが想起される)。 以上の研究の最終目的は、<超現代>の呼称のもとに統合される見かけ上はきわめて多様な方向性をもつ詩人たちに共通するさまざまな技法やテーマを、一望のもとに整理することである。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
2013年9月に、ケベックでの国際シンポジウム(Colloque « La littérature des possibles », Université Laval)に招待されている。そこでは、現代詩に開かれたさまざまな可能性、とりわけ現代詩と哲学との関係ついて発表する予定である。また、この出張の折に、モントリオールのマクギール大学にて、詩人ピエール・アルフェリと彼の「シネ=ポエム」(文章、映像、写真の混合からなる詩)に関する講演を行う。 さらに私は、20・21世紀アメリカに関する国際学会にも招待されている(2014年3月、ニューヨーク大学にて開催)。ここでは、現代詩における想像界と潜在性について講演する予定である。 したがって私の科研費の大部分は以上の出張に用いられる。残りは書籍および研究に必要な物品の購入に充てられる。
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Research Products
(5 results)