2013 Fiscal Year Research-status Report
新概念「亡命の文化テキスト」の確立ー東アジアへの亡命研究を通して
Project/Area Number |
23520394
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
PEKAR Thomas 学習院大学, 文学部, 教授 (70337905)
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Keywords | 亡命文学 / 異文化研究 / 文化接触研究 / 文化テキスト / 移住 / 移民文学 / 超文化研究 / 国際研究者交流 ドイツ |
Research Abstract |
2013年度は主として以下の3つを行なった。 1.9月14日、15日に国際シンポジウム「文化の判読可能性の限界―文化接触モデル(Grenzuen der Lesbarkeit von Kulturen. Kulturkontakt-Modelle)」を開催。ウヴェ・ヴィルス教授(ギーセン大学)、モリッツ・バスラー教授(ミュンスター大学)、李京粉教授(ソウル大学)らを招き、日本人の若手研究者を含む合計18名の研究者が研究発表 2.3月に上海にてドイツ語、英語、フランス語による新聞および亡命雑誌の資料収集を行い、同済大学の亡命研究者Yuan Zhiying教授と意見交換。同じく3月にオーストリア亡命研究学会に参加し、「東アジアへの亡命と移住のためのユダヤ人援助組織による経済的資金調達(Die Bereitstellung der ökonomischen Basis für Exil und Emigration in Ostasien durch jüdische Hilfsorganisationen)」というテーマで研究発表を行った。4-6月、「日本におけるドイツ語話者亡命者のネットワークに関する文献学的研究 1939-1945」を行っているマールバッハ・ドイツ文学文書館のDr. ニコラ・ヘルヴェック氏を客員研究員として招き国際研究者交流を行た。 3.「文化テキスト」の概念を理論的に深めるため国際情報交換を行った。夏、ドイツ語による亡命文学研究の責任者であるドエルテ・ビショッフ教授(ハンブルク大学)と2015年に上海で開催予定の学会にて移住と亡命に関するセクションを開設する話し合い。3月、ウルリケ・フェダー教授(フンボルト大学ベルリン)と文化理論および文化接触について議論
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
年度初めの計画通り、若手を含めた約12名による研究会を開催し、「文化コンテクスト」をテーマとした研究を進めた。また、その成果として予定通りに国際シンポジウムを開催(2013/9/14 & 15) することができた。 具体的には、「亡命」および「移民」の観点から概念「文化的テキスト」を検証した。異文化現象については、(特に日独の文化接触の観点から)諸文化間、諸テキスト間の接触のプロセスの研究を進めた。第二次世界大戦中のドイツ語圏から東アジアへの亡命に関する資料収集に関しては、特に上海での収集で成果を挙げた。 一方、本テーマ申請時に計画していたイスラエルでの文献収集ならびに移民テキストおよび亡命テキストを基にしたケーススタディと Classification モデルの構築等は3年の期間内には収まりきらず、期間延長を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
プロジェクトを1年延長することが承認されたのでテーマの集大成を行う。残りの文献収集並びにケーススタディを行いつつ、国際学会発表ならびにシンポジウムの発表内容の出版等、成果の広報活動に力を入れる。具体的計画は以下の通り a) 以下の国際学会で本テーマに関する研究発表を行う: 5月にBerlinで開催される国際会議(Heros and Heroic Myths)、6月にIrelandで開催される国際会議(Society of Intercultural German Studies)、11月にオーストラリアで開催される国際会議 (Society of Intercultural German Studies) b) 昨年開催したシンポジウムの研究発表出版: 「文化コンテクスト」をテーマとした研究会メンバーを編集委員として、論文の査読審査会議を定期的に行う。『文化接触 日独の文脈における場面とモデル』というタイトルでビーレフェルトの出版社Transcript-Verlagから出版予定 c) 様々な文書館(ドルトムントのフリッツ・ヒューザー・インスティテゥートを含む)において、移住に関する資料、とりわけ1960年以降ドイツへ移住した外国人労働者に関する資料を調査する。 d) 2014年秋には2ヶ月のイスラエル滞在を計画している。国際的なホロコースト研究のインスティテゥートであるヤド・バシェムにて東アジア亡命に関する資料収集を行う。 その目的は、移民テキスト(移民文学)と亡命テキスト(亡命文学)を文学人類学の観点もと、相互に関連付けることである。その際、例えば、出身地の文化と亡命・移住先の文化の観点から、あるいは言語の問題の観点からどのような現象が生じるのかという問いを中心的に扱い、移民テキストおよび亡命テキストに共通性または差違が見られるのか分析する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
2013年度は3年計画の3年めであったが、初年度、2年度に雇うはずであった研究助手用に確保した人件費とイスラエルへの渡航代が未消化のために発生 主として、イスラエル、ユダヤ人資料館で研究滞在するための渡航費とオーストラリアでの学会発表の渡航費に使用する
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