2013 Fiscal Year Research-status Report
フランス15・16世紀の愚者演劇にみる聖俗超越への志向性を巡る知の歴史的総合研究
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23520399
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
川那部 和恵 東洋大学, 法学部, 教授 (70332765)
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Keywords | 愚者 / 中世世俗劇 / 聖と俗 / 笑い |
Research Abstract |
本課題の目的は、フランス15~16世紀の世俗劇に登場してその舞台を中心的に牽引する「愚者」ないし道化的人物たちの「知」の側面に注目し、そのありようが中世末・ルネサンス期の思想・文化的な転換の動きとどう関わっているのかを、聖と俗の関係性の視点から捉え直すことにある。具体的には、かれらの知的営為における聖と俗の葛藤が結果としてもたらしうる新たな展望の可能性を追究し、このビジョンの特質と時代的意義を、道化の言説の分析と歴史・文化・社会的背景の総合的な考証と検討をとおして探っていく。 研究3年目となる本年度は、昨年度と同様、演劇道化の超越志向的な知のありようがどのようにして形成されたのかを明らかにすべく、まず、人文主義と道化の関係性に焦点を当てて、古代知における道化観がどのような形でこの時代の聖俗の関係性に波及しているかについて考察した。次に、歴史の中で展開されてきた多様なキリスト論や無神論の内容を分析して、これも同時代の聖俗の関係性にどう波及しているかを位置づけた。さらに、作者たちの置かれていた知的環境について、大学における修学内容はいかなるものであったか、特に、自由七学科のうちで最も重視されたといわれている弁証法の内容や、哲学・神学さらに人文主義的学問にかんする彼らの知識や関心・関与のあり方はどうであったか、を中心に、聖と俗の視点から詳しく調査分析し考察を加えた。そして最後に、以上すべての結果を総合して整理した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通りの進捗状況にある。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、本研究課題最終年度の検討事項として、問題の演劇道化の知のありようが、なぜとりわけ中世末からルネサンス初期にかけてのこの時代にさかえたのか、その同時代における意味と機能について、異端や宗教論争の関与の如何や、この知のビジョンにおける社会的・政治的な性格の有無、さらには作者たちの宗教的立場、聖史劇との関係性などの点を中心に、考察する予定である。
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Research Products
(3 results)