2013 Fiscal Year Annual Research Report
フローベールと身体―文学作品を通した新たな身体知の構築に向けて
Project/Area Number |
23520402
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
菅谷 憲興 立教大学, 文学部, 教授 (50318680)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和田 光昌 西南学院大学, 文学部, 教授 (30299523)
山崎 敦 中京大学, 国際教養学部, 准教授 (70510791)
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Keywords | フランス文学 / 国際研究者交流 / 身体 / 生成論 / 認識論 / 思想史 |
Research Abstract |
平成25年度は本研究の最終年度に当たり、主にこれまでの研究成果をまとめる作業に専念した。その際、研究代表者・分担者3名の各々がフランス語および日本語で学術論文を発表するのみならず、翻訳や一般の文芸誌への執筆を通じて、研究成果を広く社会に還元することにも努めた。 まず菅谷は、19世紀の医学、生理学の多様な理論の中からラスパイユ医学、さらに黎明期の実験医学について、それらの政治的、身体的次元が『ブヴァールとペキュシェ』の第3章でどのように表象されているかを考察した論文を発表した。同時に本研究の成果を活かして、フローベールのこの小説の翻訳を進めた(2014年度中に集英社から刊行予定)。 次に和田は、子どもの身体を対象とする知としての骨相学に着目し、『ブヴァールとペキュシェ』第10章における骨相学のエピソードの構想が、外面と内面の一致と不一致をめぐる言説を中心に展開されていることを検証した。また同時に、子どもの身体知に関連した領域として、『男らしさの歴史』の翻訳にも取り組んだ(2014年度中に藤原書店から刊行予定)。 最後に山崎は、『ブヴァールとペキュシェ』第8章において、「重力」や「運動」といった哲学的概念が物語の展開に即していかに変奏されているのかを考察した。加えてリシャールの訳書に付した論考において、いわゆる「テーマ批評」の淵源にバシュラールやサルトルの現象学的思考があることを指摘し、哲学と文学批評とのあいだにはりめぐらされた系譜の一端に光を当てた。 今後の課題としては、まずは昨年催した公開講演会における二名の研究協力者(蓮實重彦、J・ネーフ)の原稿をフランス語の媒体に発表したいと考えている。できれば我々三名も新たに原稿を執筆して、本研究の成果としてまとめたい。研究全体の総括としては、発表した論文の数から見ても、この三年間で十分な成果をあげることができたと自負している。
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Research Products
(8 results)
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[Book] Bouvard et Pecuchet : archives et interpretation2014
Author(s)
Anne Herschberg Pierrot, Jacques Neefs, Jean-Claude Bonnet, Stephanie Dord-Crousle, Pierre Fournie, Francoise Gaillard, Marie Odile Germain, Jacques Jouet, Hugues Marchal, Taro Nakajima, Michel Pierssens, Florence Pellegrini, Gisele Seginger, Pierre Senges, Norioki Sugaya, Atsushi Yamazaki
Total Pages
422 (Sugaya, 103-121; Yamazaki, 169-184)
Publisher
Editions nouvelles Cecile Defaut
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