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2012 Fiscal Year Research-status Report

中世ドイツ叙事文学における表現技法の全体像を解明する

Research Project

Project/Area Number 23520410
Research InstitutionKansai University

Principal Investigator

武市 修  関西大学, 文学部, 教授 (80140242)

Keywords押韻 / 縮約形 / 迂言表現
Research Abstract

本年度は論文「『ザクセン法鑑』に見られる表現技法」において、13世紀後半に成立した、当時の中世低地ドイツ語で書かれたドイツを代表する法書『ザクセン法鑑』の、韻文で表わされた序文を詳細に分析し、これまで研究してきた同じ時代の中高ドイツ語で書かれた叙事文学作品の表現技法と比較した。
その結果、tuon(英語のdoに当たる今日のドイツ語tunの中高ドイツ語形)の代動詞用法、ich(私)の代わりにmin lip「わが身」を用いるような名詞による代替表現はなく、さらに、中高ドイツ語作品で多用される動詞legen, ligen, sagen, lazenの縮約形は1例も見られないということが明らかになった。
そこで本稿ではさらに、除外文、曲言法の否定表現、不定関係代名詞および他の縮約形の4点について詳細に検証した。最初の3つの表現技法はこの作品の序文においてもおおむね中高ドイツ語諸作品と同じ傾向が見られるが、単語の縮約という現象に関しては、中高ドイツ語作品には見られない、動詞stanおよびganの3人称単数現在形statおよびgatの縮約形steitおよびgeitが用いられていることが判明した。
この研究によって、予想していたように中高ドイツ語叙事作品の押韻文学としての独特の表現技法が確認されたと思われるが、さらに、来年度は上記作品の散文部分を検証することによって、そのことをより一層明確に示すことができると期待している。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

これまで二十年にわたって進めてきた中世ドイツの叙事文学の表現技法を、文学作品ではない中世の実用書の言語的特徴との比較から明らかにするという目的を、先ず、中世で最も重要な法書『ザクセン法鑑』との比較で行なったが、とりあえずは、韻文部分との比較であった。これは当初の目的の半分程度が達成されたもので、達成度は50%程度であった。それは原文理解に相当な努力が必要であったため、やむを得なかったが、今年度は、その経験を踏まえ、さらに研究の進展を図る予定である。

Strategy for Future Research Activity

本年は、『ザクセン法鑑』のラント法の部分を精読し、縮約形、迂言表現、tuonの代動詞用法などの用法を詳しく調べ、さらにM.ルターの『卓上談話』も取り上げ、同じ視点で調査したい。昨年同様、情報交換するとともに難解個所などを尋ねるために、斯界の泰斗であるパッサウ大学元教授、H.W.Eroms先生、バンベルク大学名誉教授、R.ベルクマン先生、ハレ大学教授、H.-J.Solms先生を訪ねる予定である。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

物品費 250,000円
旅 費 500,000円
消耗品  50,000円
『ザクセン法鑑」および『卓上談話』についての研究書や注釈書で古本などでさらに手に入るものがあれば購入したいので、それらに約250,000円、ドイツの教授たちを訪ね情報交換するための旅費に500,000円、文具やパソコン関係の消耗品への支出に50,000円を予定している。

  • Research Products

    (2 results)

All 2013

All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 2 results)

  • [Journal Article] 『ザクセン法鑑』に見られる表現技法 ー 中高ドイツ語叙事作品との比較から -2013

    • Author(s)
      武市 修
    • Journal Title

      関西大学独逸文学

      Volume: 第57号 Pages: 53-75

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] Wandel vom Althochdeutschen ueber das Mittelhochdeutsche bis zum Fruehneuhochdeutschen: Einige sprachliche Phaenomene2013

    • Author(s)
      Osamu Takeichi
    • Journal Title

      Vielheit und Einheit der Germanistik weltweit

      Volume: - Pages: 77-81

    • Peer Reviewed

URL: 

Published: 2014-07-24  

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