2014 Fiscal Year Annual Research Report
グリム兄弟におけるドイツ・ロマン派の連続性と変容―イメージとテクストの協働
Project/Area Number |
23520411
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
村山 功光 関西学院大学, 文学部, 教授 (20460016)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | グリム兄弟 / ポエジー / ルンゲ / ヘルダー / 子ども観 |
Outline of Annual Research Achievements |
報告者はグリム兄弟の思想を、視覚イメージと思考との協働の点で研究している。グリム兄弟はメールヒェンなどの口頭伝承を〈自然〉の産物と捉え、自然界や素朴な民衆の生活から子ども・植物・宇宙・民衆などのイメージを採取し、それらをヒエログリフとして配置したアラベスクを独自に展開したと考えられる。報告者はこれを、画家P.O.ルンゲの作品および絵画論との比較で解明した(論文"Zur Visualisierung einer Landschaft der 'Naturpoesie'")。 また〈民衆ポエジー〉が〈幼年期を憧憬する大人の文学〉として、また〈子どもが受容する文学〉として捉えられる諸相をヘルダーとグリム兄弟において考察した論文 "Volksposie als Kindheits- und Kinderliteratur. Von Herder zu den Bruedern Grimm"、ヘルダーの文学美学を分析した論文「ヘルダーの〈民衆ポエジー〉の概念」を発表した。 2014年8月には、ドイツのフランクフルト大学で児童文学研究所のHans-Heino Ewers教授と、18世紀後半から19世紀初頭にかけての子ども観・文学観についての研究の打ち合わせをした。また、同じくフランクフルトにあるFreies Deutsches Hochstift(ドイツ文学の研究所の一つ)ではC.ブレンターノ研究の専門家Wolfgang Bunzel教授と面会し、グリム兄弟とブレンターノの影響関係(とりわけ視覚イメージと思考の関係)について議論し、同研究所の所蔵する18-19世紀絵画および文書の調査への協力を取り付けた。Freies Deutsche Hochstiftでは、他の研究員(特に美術史の専門家)にも研究協力を要請した。報告者は平成27年度にアレクサンダー・フォン・フンボルト財団の研究留学への応募を予定しているが、今回のフランクフルトでの研究打ち合わせはそのための有意義な準備となった。
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Research Products
(4 results)