2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23520412
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Research Institution | Seijo University |
Principal Investigator |
高名 康文 成城大学, 文芸学部, 准教授 (80320266)
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Keywords | 国際情報交換 / フランス |
Research Abstract |
L. ハチョン、M.ローズらのパロディー論の精読をしつつ、R. Bellon, Diversite et unite dans le Roman de Renart(リヨン第二大学に出された国家博士論文,1992年)や,国際動物叙事詩学会が発行している雑誌Reinardusで論じられている『狐物語』におけるパロディー、およびこれに近接するものに関する論文を参考にしながら、ジャンルのパロディーに関する考察を、昨年に引き続き行った。 この際には、2008年に刊行された『カイエ・ド・ルシェルシュ・メディエヴァル(中世研究誌)』15号の「中世文学におけるパロディー的なものの誘惑」特集で取り上げられている作品のうち、『パレルモのギヨーム』(Guillaume de Palerne)、『オランジュ陥落』(La Prise d'Orange)を精読しながら、これらの作品において、ジャンルのパロディーがどのように行われているかについて検討した。特に、『狐物語』の初期枝篇が成立し終えた時期に制作されたと考えられている『パレルモのギヨーム』は、『狐物語』と同様に、武勲詩、宮廷風騎士道物語、聖人伝、叙情詩などのジャンルに特有の表現を自らの作品に取り入れているが、それらの表現の欠陥を指摘したり、表現を借りてきたジャンルの作品を茶化すという皮肉な意図よりはむしろ、これらの表現の不自然なまでの繰り返しや、表現の唐突な位相の変化から生まれるユーモアを楽しむという遊戯的な意思が認められる。『狐物語』からの借用が明らかな箇所もあるため、12世紀末から13世紀中葉の北フランスの物語におけるジャンルのパロディー論をするにあたっては、これら二つの作品を同時にとりあげて、比較検討ことに意義があることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ジャンルのパロディー論について、パイロット的な論文を日本語で執筆するというのが昨年度の研究計画であったが、未読の作品を精読することに時間がかかり、できなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
五月中に国際中世叙事詩学会日本支部の研究発表会において、「『狐物語』と『パレルモのギヨーム』―ジャンルのパロディーについての一考察」と題する発表を行う。その成果をふまえて、夏期休暇中に研究論文を執筆し、学内の紀要に掲載する。これと同時に夏期休暇には、『オランジュ陥落』も視野に入れたジャンルのパロディーに関する考察を開始し、年内に研究会での発表、学年度内に研究論文の執筆を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(1 results)