2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23520416
|
Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
西野 由希子 茨城大学, 人文学部, 教授 (40262357)
|
Keywords | 香港文学 / 香港 / 中国 |
Research Abstract |
今年度は、研究の二年目として、初年度に行ったデータ収集等の作業を継続、また、本研究の主要な対象である作家・也斯、および彼の周辺の文学者・芸術家へのインタビュー等を中心とした調査を行った。こうした調査やインタビューをもとに考察を進め、研究発表や論文の執筆を行った。 7月に香港で開かれた「香港ブックフェア」では、也斯が「2012年度の作家」に選ばれたため、本研究の重要なテーマである「香港における文学とさまざまな芸術分野の共同制作」の資料等が「特別展示」として、多数、展示されるとともに、講演会や、作品朗読会が開催され、文学・芸術方面の関係者、および、香港・中国・海外の研究者が集った。私自身も招聘されて朗読会等に参加し、このときに、インタビューや、資料収集を進めることができた。 7月以降、2012年度には、也斯本人の作品や、関係の論文・評論などが多数、発表され、それらもまた本研究にとってたいへん重要な資料となっている。 また、本研究の視角の柱の1つである「文化大革命時期の香港文学の状況」という課題については、文化大革命時期の知識人を総合的に研究する研究会や国際シンポジウムに参加して、示唆を得た。文化大革命に関わる香港の作品の調査も引き続き行ったが、これに該当する作品は多くないことが明白になってきている。最終年度も調査を続け、該当作品が少ないという調査結果に基づいて、考察していきたいと考えている。 昨年度の研究の成果として執筆した論文を発表するとともに、12月には、7月の香港での調査結果や、その後の考察を加えて「1970年代の香港文学と也斯の創作活動」について、口頭で発表する機会を得た。また、2013年の7月に学会での発表も予定している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度進める予定にしていた資料収集、調査について、ほぼ予定通りに進んでいる。 7月に「香港ブックフェア」に招聘されて参加した際、当初、計画していたインタビュー調査の対象の作家・芸術家・研究者たちに会うことができた。 また、「香港における文学とさまざまな芸術分野の共同制作」の資料等も閲覧、収集でき、関連の資料の購入、複写も順調に進めることができた。 その他の資料調査は、香港中文大学がWEB上で提供しているデータベース等を活用できていることから、2回予定していた香港での調査は、1回実施した。 これらの調査を基に、現在までの考察をまとめた論文の発表、口頭発表を行うとともに、本研究課題に関連する他の研究会などにも参加して、最終年度の研究に向け、多くの示唆を得た。 以上のように、全体として、本年度の研究はおおむね順調に進展したと考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、当初の計画に沿って、以下の3つの視角を柱とするこれまでの調査・研究を継続し、それらのデータを補うとともに、考察を進め、本研究のまとめを行う。 ①ラテンアメリカ文学を中心とする海外の「モダニズム文学」の翻訳・紹介について、収集したデータを整理し、「香港における海外モダニズム文学参考文献一覧」を作成する。また、香港における「モダニズム文学」についての考察を進める。 ②「文化大革命」に関する香港の文学者の発言や文章、関連する創作作品について調査を続け、収集したデータを整理して、分析する。 ③香港において展開された「文学と他分野の芸術家との共同制作」について、インタビュー調査での聞き取りや収集した資料等の内容を整理し、考察する。 これらの研究成果を総合的にまとめ、「1970年代香港文学」の多角的な検証と考察を行い、論文を執筆するとともに、学会・シンポジウム等で報告・発表を行う。 あわせて、研究成果の社会への還元の一つとして、地域の講演会や講座等で、本研究の成果を講演・講義する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
最終年度の調査として、香港での調査を1回行うための調査旅費を使用する。また、成果報告のために学会、講演会等に出席する際に旅費を使用する。 まとめの考察に必要な関連資料を購入し、また、購入できない資料について複写を行うための複写費を使用する。 収集した資料の整理を補助する人員を依頼するとともに、データ整理およびデータの公開のために、パソコンソフトやパソコン周辺機器、消耗品等を購入する。
|
Research Products
(2 results)