2013 Fiscal Year Annual Research Report
中国浙江省農村に生きる口承文藝―泰順と舟山の布袋木偶戯比較研究
Project/Area Number |
23520422
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
橋谷 英子 (馬場 英子) 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 教授 (80189513)
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Keywords | 人形芝居 / 中国浙江省 / 舟山 / 蒼南 / 泰順 / 粉粧楼 / 月唐演義 |
Research Abstract |
本研究は、伴奏、語り、人形遣いすべてを一人でこなし古い形態をとどめる泰順の人形芝居を、彫刻を施した美しい舞台で、二から三人の伴奏を従えて演じられる舟山の人形芝居と比較検討することにより、一人遣い人形芝居と伝統的語り物、講史との関わりを探ろうとした。しかし調査対象に予定した泰順の人形遣いは、手持ちの舞台が壊れたのを潮に廃業してしまい、一人遣いに限れば、泰順の伝統はほぼ失われた。一方、隣接する蒼南県の一人遣いは、舞台と人形を大きくするなどの工夫が功を奏し、非物質文化遺産にも指定されて盛況である。そこで蒼南で「粉粧楼」全編4日間20時間で演じてもらい、舟山の「粉粧楼」の上演と比較した。また、舟山で以前録画した「月唐演義」を蒼南でも二日分上演してもらい、最終年度は、蒼南と泰順および舟山での上演記録の整理を行った。蒼南の上演内容は、調査時に方言通訳をしてくれた温州大学院生林小ブン氏を8月に招き、セリフの確認、小説との比較検討を行った。 10月には、温州博物館副館長の楊思好氏を招き、共同研究者の瀬田充子氏と共に、蒼南一人芝居の上演内容、歴史等について4日間研究会を実施した。 10月14日には、楊思好氏と立教大学の細井尚子氏、中国華東師範大学の陳勤建氏を招き、橋谷英子司会で、新潟大学で「今も生きる伝統的人形芝居ー中国浙江省の指遣い人形ー」と題して国際シンポジウムを開催した。浙江指遣い人形の源流と考えられる福建省泉州の人形芝居と戯神について、漁民の暮しと人形芝居の関わり、非物質文化遺産保護運動との関係、将来展望について、三年間の調査成果もふまえ、討議した。 3月に補充調査で蒼南を再訪、「月唐演義」の李白登場部分について、蒼南と泰順の簡単なは上演台本をもとに検討した。舟山との比較を含め、語り物と人形芝居の関係について、2014年度中にまとめる予定である。
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Research Products
(2 results)